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「がん予防の第一歩は、やはり食生活。体内にがん細胞を発生させない食事を日常的に心がけることが大事です。さらに、食材同士の組み合わせによってはその効果を何倍にも高めることができます」

 

そう話すのは、栄養学博士の白鳥早奈英さん。’82年、日本ではじめて「食べ合わせ」という概念を提唱したのが白鳥さんだ。研究のきっかけをこう語る。

 

「当時、人間関係に悩んでいた私は、人と人はお互いの相性によって幸不幸が分かれるように、食材にも相性の良しあしがあるのではないか、と気づいたのです」

 

白鳥さんが日本と米国を行き来し研さんを重ねるうち「食べ合わせ」の効果は次々に証明されていき、栄養学として定着していった。「食べ合わせ」とは、「複数の食材の組み合わせにより効果・効能が生じること」をさす。たとえばピーマンと油は好相性で、油で炒めることでピーマンに含まれるカロテンの量はじつに5倍にもなる。

 

こうした理想的な組み合わせがある一方、相性の悪い組み合わせもあるというから要注意だ。

 

「たとえばジャムとハム・ソーセージの食べ合わせは最悪です。ジャムに使われる保存料ソルビン酸とハム・ソーセージに使われる発色剤の亜硫酸塩が出合うと、発がん物質ができてしまうのです」

 

アメリカの国立がん研究所がまとめた、「デザイナーフーズ・ピラミッド」のトップに君臨するにんにくをはじめ、ブロッコリーやしいたけ、緑茶など、がん予防効果のある食材と、その成分を高める食材の食べ合わせをまとめた一例が次のとおりだ。

 

【にんにく】効果を高める食べ合わせ:豚肉、玄米

にんにくに含まれるアリシンが、豚肉や玄米に含まれるビタミンB1の吸収をよくする。それにより免疫力をアップさせる成分の働きを高めることができる。

 

【大豆】効果を高める食べ合わせ:麹、卵黄

大豆イソフラボンには乳がん予防効果があり、麹もがん予防効果が期待できる。大豆は抗がん作用があるレシチンを含む卵黄との食べ合わせも効果的。

 

【鶏むね肉】効果を高める食べ合わせ:なめこ、昆布

鶏むね肉のイミダペプチドには疲労回復効果があり、なめこのぬめりがこの吸収を補う。昆布に含まれるアルギン酸もイミダペプチドの吸収を高め、免疫力アップに。

 

【しいたけ】効果を高める食べ合わせ:牛乳、豆腐

しいたけに含まれるレンチナンの免疫力増強と、牛乳のビタミンB2でがん抑制に。レンチナンと豆腐のカルシウムも好相性で、がん予防効果を高める。

 

【ブロッコリー】効果を高める食べ合わせ:味噌、そば

ブロッコリーのスルフォラファンと味噌の脂肪酸エチルにはそれぞれがん予防効果が。血管の弾力を増し体を元気にするルチンを含むそばと組み合わせても◎。

 

【アボカド】効果を高める食べ合わせ:いちご、マグロ

アボカドに含まれるプロトカテク酸ががん細胞増殖を抑制。いちごは肝臓がん増殖因子を抑制する働きが期待できる。マグロの不飽和脂肪酸にもがん予防効果が。

 

【アーモンド】効果を高める食べ合わせ:バター、にがうり

アーモンドのビタミンE、ポリフェノールは血管年齢を若返らせ、バターのビタミンAは肺がんを防ぐ。がん予防効果のあるにがうりのモモルデシンとも相性◎。

 

【緑茶】効果を高める食べ合わせ:べったら漬け、キムチ

緑茶に含まれるカテキンにはがんの原因ともなる活性酸素を除去する作用がある。麹のポリフェノール、キムチの乳酸菌にもがんを予防する効果がある。

 

「がんの予防のためには免疫力アップが不可欠。そのために、活性酸素を取り除く効果の高い抗酸化食品を積極的に取ることが大切です。ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、βカロテン、ポリフェノールなどが含まれる野菜や果物を意識的に取りましょう。たとえばにんにくは強力ながん予防食材。これに含まれるアリシンはエネルギー源となるビタミンB1と一緒に摂ることでその吸収力を高めます。エネルギーが増殖することで、免疫力がより強化されるという、メカニズムです」

 

食べ合わせによって、がんを予防する食材のパワーを余すところなくいただこう!

 

「女性自身」2020年8月18日・25日合併号 掲載

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