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「現状、大学病院などの大病院を初めて受診する際、紹介状がないと、診察料とは別に5,000円以上の負担があります。その負担が引き上げられる可能性があるのです」

 

こう話すのは、国の医療制度に詳しい社会保険労務士の石田周平さん。厚生労働省の諮問機関・社会保障審議会において、前述の費用を引き上げる方向で現在、議論がなされていると、11月19日付の読売新聞で報じられた。

 

厚労省担当者は、本誌の取材に対し「『いつから、いくらか』などの具体案はその後の議論です」と答えるが、金額を「7,000円」に、という話もあるのだそう。

 

「国は高齢者を中心に病院窓口での自己負担率を上げる傾向にあり、初診時の別負担増加もその流れ。紹介状を持って大病院を訪れるためには、『かかりつけ医』を持つことが重要です」と石田さん。

 

日本医師会によると、かかりつけ医とは《健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門医療機関を紹介してくれる身近にいて頼りになる医師》のこと。「医療情報ネット」などのウェブサイト上でも、探すことができる。

 

厚労省「上手な医療のかかり方」プロジェクトの担当者は、かかりつけ医を持つメリットを次のように説明してくれた。

 

「同じ先生に継続して診療を受けることで、体質や、生活習慣、なりやすい病気などを把握してもらうことができます。体調不良を気軽に相談できれば、大きな病気の早期発見や予防につながるはず。専門的な検査や治療が必要となった場合には、症状に適した専門医療機関を紹介。もちろん紹介状も書いてもらえます」

 

かかりつけ医を持たないいちばんのデメリットは、日ごろの健康管理がおろそかになり、病気やその予兆を発見するのが遅れてしまうことだ。そのせいで入院となれば、かなりの出費となる。

 

さらに、医療技術の発展により病気で亡くなることが減る一方で、病気によって要介護状態や薬の服用が欠かせない状態になってしまうと、その後生涯にわたりお金がかかることに……。

 

「かかりつけ医を持ち、病気を予防・早期発見することで、大病を防ぐことがいちばんの節約になるんです」(石田さん)

 

「女性自身」2020年12月22日号 掲載

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