『おうちでドック』生活習慣病検査キット(写真提供:ハルメク・ベンチャーズ株式会社) 画像を見る

健康診断や検診は病院で受けるもの、と思っていませんか? じつは自宅でも病院並みの検査ができるキットがあるのです。忙しくても受診しやすい“自宅検診”で、コロナも大病も、どちらも防ごうーー!

 

「新型コロナウイルスの感染への不安から、がん検診の受診率が激減しています。日本対がん協会によると、がん検診の受診率が、’20年4月は前年比で15%、5月は8%にまで減り、通年で3~4割減になる見通しです。また、生活習慣病などを予防する健康診断でも、受診者数が3割以上減っていることが明らかに。来年か再来年には、がんで亡くなったり生活習慣病を患ったりする人が急増する可能性があります」

 

そう語るのは、医療経済ジャーナリストの室井一辰さん。受診控えが進む中、自宅で血液や尿などを採取して検査機関に送付、後日検査結果を受け取る“遠隔検診”に注目が集まっているという。

 

「感染リスクが気になり、健康診断を受けられない、という人にとっては、遠隔検診は価値があると思います」

 

ここ2~3年、忙しくてがん検診や健康診断を受けていないという人はもちろん、さまざまな病気のリスクが上がる50歳以上の人や、血縁者に遺伝性の病気(乳がん、肺がん、すい臓がん、糖尿病、脂質代謝異常症、くも膜下出血や動脈瘤)の患者がいる人、喫煙や飲酒、肥満、睡眠不足など、生活習慣において不安要素がある人は遠隔検診を活用するメリットがありそうだ。

 

そこで、税別で1万円以内の自宅でできる検診を探してみた。

 

■線虫がん検査「N-NOSE」(株)HIROTSUバイオサイエンス/9,800円

すぐれた嗅覚を持つ「線虫」が、がん患者の尿に含まれるにおいに近づく性質を活用。15種類のがんについて、罹患(りかん)しているかどうかを検査できる。感度は86.3%。尿検体を東京と福岡の拠点に持参する。

 

■血液検査「おうちでドック 生活習慣病」ハルメク・ベンチャーズ(株)/7,500円

超微量の血液から動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の可能性があるかどうかを検査できる。医師の解説(電話、15分1回)、看護師の健康相談チャット、医師紹介などのアフターサービスが無料でついてくる。

 

■喀痰細胞診検査「肺がん検査」(株)セルメスタ/4,250円

痰の中に異型細胞があるかどうかを検査することで、エックス線に写らない早期の肺門部がんを調べることができる。約11日後に結果が届き、検査結果についての問い合わせができるサービスもある。

 

■血液検査「自宅でできる郵送検診申込セット」日本医学(株)/2,000円

食事の影響を受けないグリコヘモグロビンの量で、糖尿病の可能性があるかどうかを検査できる。薬局やネット通販で郵送検診申込セットを購入後、検診キットが到着。検査物到着後7~10日ほどで結果が届く。

 

■「睡眠時無呼吸症候群スクリーニング検査」(一財)運輸・交通SAS対策支援センター/4,760円(機器送料+代引き手数料は除く)

動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定する機器(レンタル)により、睡眠時無呼吸症候群の可能性を検査できる。睡眠時のデータを総合判断し、約2~3週間後に結果が届く。要検査の場合は医師による紹介状が同封される。

 

がんや心臓病、脳卒中につながることもある生活習慣病を、早期発見するための自宅検診キットが「おうちでドック 生活習慣病」。

 

「『おうちでドック』では、自宅に送られてきた専用キットで微量の血液を採取し返送。2~3週間後には、高血圧や脂質代謝異常、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病のリスクをチェックできます」

 

「おうちでドック 生活習慣病」を展開するハルメク・ベンチャーズの松尾尚英さんによるとコロナの影響を受けてか、前年同時期に比べ2.5倍の検査申し込みがあったという。

 

「医師の結果解説や看護師との健康相談チャット、病院紹介のアフターフォローがついているのが特徴です。ご本人以外での利用も多く、配偶者へのプレゼントや同僚への昇進祝いとしてお申し込みいただくケースも少なくありません」

 

閉経後の女性に発症しやすいといわれる、睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)も自宅で検査をすることができる。

 

「SASは、睡眠中に無呼吸を繰り返すことでさまざまな合併症を引き起こす病気です。睡眠不足による眠気や集中力低下だけでなく、低酸素状態に陥ることで心臓や血管にダメージを与え、高血圧や心臓病、糖尿病、脳卒中などの原因となります。近ごろ日中に強い眠気がある、夜中に何度も目が覚める、さらに起床時に頭痛がある、などの症状がある人は、検査を受けることをおすすめします」

 

そう語るのは、「睡眠時無呼吸症候群スクリーニング検査」を運営している運輸・交通SAS対策支援センターの田口陽一さん。

 

この検査では、自宅に届く検査機器「パルスオキシメーター」を睡眠時に装着し、動脈血酸素飽和度と脈拍を測定。機器返却後2~3週間で、SAS傾向を6段階で評価する検査結果が届く。

 

「検査結果を受けて初めて、呼吸が止まっていることを自覚する方が多いです。SASが疑われた方には、専門医のもとでより詳しい睡眠状態が検査できるよう、紹介状も同封しています」

 

これら以外にも、インターネット上には多くの遠隔検診キットが存在する。ただし「玉石混交なので利用するときは注意が必要」と前出の室井さんは語る。

 

「大切なことは検査結果を過信しないこと。遠隔検診に限らず、どんな検査でも、受ければ100%安心というものはありません。また、遠隔検診はあくまで、病院で行う検診や人間ドックの“入門編”だと認識したほうがいいでしょう。なかには高額なものもありますが、そこまで払うべきかというと、考えものです」

 

コロナがなければ早期発見できたのにーー。そう後悔しないために大切なのは、“自分の健康は自分で守る”という意識かもしれない。

 

「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載

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