一日の気温差が大きい季節。最近なんとなくだるい、なんだか気分が落ち込み気味……、そういった体のさまざまな不調は、その気温差によるものかもしれないーー。
「最近、全身の倦怠感や肩こり、めまい、頭痛などの不調を訴える方が増えています。かぜでもないのでよくお話を聞いてみると、原因は“寒暖差”ということが多いのです」
そう指摘するのは、せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司院長だ。寒暖差によって引き起こされる不調は、まだ明確な診断基準がなく見逃されがちだが、ひどい場合は身体的な不調だけでなく、うつ病などメンタル面に支障をきたしてしまうことも。冒頭のような症状に悩みながらも、「いつもの疲れだろう」とやりすごす“隠れ寒暖差不調”も蔓延しているという。
「今年は冬は暖かい日と急に冷え込む日が交互にやってきて、例年より気温差が大きいのが特徴です。寒暖差不調を訴える患者さんの数も、昨シーズンと比べて1.5倍くらいに増えている印象です」(久手堅院長・以下同)
次のチェックシートで、あてはまる項目が多い人は特に注意が必要だ。
【寒暖差不調のリスクチェックシート】
□ 暑さ、寒さが苦手
□ エアコン(冷房、暖房)が苦手
□ まわりの人は暑がっているのに、自分だけ寒い
□ 顔や体がほてりやすい
□ 温度差が大きいと、頭痛や肩こり、めまい、だるさ、関節痛、ぜんそく、下痢などの症状が出る
□ 熱中症や、熱中症に近い状態になったことがある
□ 季節の変わり目に、体調不良になりがちだ
□ 冷え症だ
□ 温度が一定の環境にいる時間が長い(1日中エアコンをつけている)
□ 代謝が悪い、体がむくみやすい
あてはまる項目が、3個以下→軽症、4〜6個→中等症、7個以上→重症。
不調のもとになる寒暖差は、前日との気温差だけではない。
「その日の最高気温と最低気温の差や、室内外の温度差も体に影響します。人間の体は自律神経の働きによって、体内の環境を一定に保とうとしています。体の外の変化が大きいと、体内で自律神経のコントロールが徐々に難しくなって、さまざまな不調が起こるというわけです」
夏場は、冷房の効いた涼しい部屋と暑い屋外の温度差によるダメージで起こる“クーラー病”が話題に上ることが多いが、それとよく似た症状が、冬場の寒暖差でも起こっているのだ。
「夏のクーラー病も冬の寒暖差不調も原理は同じで、大きな温度差が体にダメージを与えます。特に、冷えに弱い女性のほうが、寒暖差によるダメージで不調に陥りやすいようです」
久手堅院長によれば、寒暖差不調が現れる温度差は“7度”が目安。朝晩や室内と室外などの温度差を、7度を越えないように気をつけたいところだ。
「女性自身」2021年3月2日号 掲載