「今年は2月に入って急に暖かくなったことで、花粉症の症状が一気に出たという人が多いようです。花粉症の患者さんの中で、例年になく訴えが多いのが、頭皮に関するトラブルです」
こう話すのはクレアージュ東京エイジングケアクリニック院長の浜中聡子先生だ。春は秋と並んで毛髪の生え替わる季節でもある。この時季に、花粉アレルギーによるダメージが鼻水や目のかゆみなどの症状のほか、抜け毛などの頭皮のトラブルの引き金になるのだという。
「花粉が皮膚に接触することによって生じる炎症のことを『花粉症皮膚炎』といい、特に要注意なのが、更年期世代の女性です。もともと頭皮は、適度な量の皮脂と水分でバリアが張られていて、外からの刺激から守られています。しかし、加齢と共にそのバランスが崩れ、乾燥肌へと変わっていく女性が増えるのです」浜中先生・以下同)
さらに、若いころからのパーマやカラーリング、年齢を重ねてからの白髪染めなどをする機会が多かった人は、知らず知らずのうちに頭皮にかなりのダメージを与えてしまっている。
「更年期をむかえる女性の皮膚は敏感になっているため、花粉によるアレルギーの症状も出やすいのです。この“頭皮の花粉症”を放置してしまうと髪の毛の健全な成長を妨げてしまうので、早期のうちに頭皮ケアをはじめとする適切な対処をすることが大切です」
頭皮に小さなブツブツができる、目のまわりなど皮膚の薄い部分にアレルギー症状が出るなど、花粉症皮膚炎の初期のサインがいくつかある。次のチェックリストで思い当たる項目が複数あるようなら、頭皮の花粉症であることが懸念される。
【こんな異常は頭皮の花粉症かも!】当てはまる項目が多いほど危険性大!
□ 頭皮に少し赤い発疹がある
□ まぶたや頬が全体的に赤くなっている
□ 頭皮につっぱり感やひきつり感がある
□ ふだん使っているシャンプーに違和感を覚えるようになった
□ 花粉による、鼻水が多く出るなどの症状がある
□ 花粉による、目のかゆみや充血、腫れなどの症状がある
□ 目のまわりなど、皮膚の薄い部分にアレルギーの症状が出る
「顔や首、耳などに出始めた赤みを伴うかゆみは、やがて頭皮にまで及びます。かゆみの厄介なところは、いつのまにかボリボリとかきむしってしまい、頭皮を傷つけて細かいフケを発生させたり、抜け毛や薄毛を招くなど、症状を悪化させてしまう点です」
頭皮のケアにはどんなことを気をつければよいのか、浜中先生に聞いた。
「まずは、シャンプー後に、刺激の少ない頭皮用の保湿液を使って、頭皮の状態を整えるようにしましょう。かゆいからといって爪をたててかくのはNGです」
市販されている頭皮用の保湿液は、保湿成分により頭皮を保護するバリアを作ってくれるのだという。ただし、含有成分には注意が必要だ。
「保湿液と美容液を勘違いしていらっしゃる方もいますが、美容液の中には育毛効果をうたっているものもあり、育毛成分がかえって刺激となり症状を悪化させかねません。保湿液はできるだけ添加物の少ないものを選ぶようにしましょう」
「女性自身」2021年3月23日・30日合併号 掲載