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「ナッツは栄養豊富で、美肌効果や記憶力改善など、さまざまな健康効果があることが広く知られるようになってきました。おやつやおつまみとして食べるだけでなく、料理に取り入れている方も多いと思いますが、ぜひ試してほしいのが、漢方で知られる『生薬』との組み合わせ。一緒に食べることで、お悩みの不調がより効果的に改善しますよ」

 

こう話すのは、工藤内科院長で、東洋医学・漢方医でもある工藤孝文先生だ。工藤先生がとりわけ注目するナッツはクルミ。

 

「毎日1つかみのクルミを摂取することが、認知機能の向上につながると研究でわかっており、認知症予防が期待できます。とくに最近は、1年以上続くコロナ禍において、物忘れに悩む人が増えています。自粛生活の中でのコミュニケーションの減少、不安や緊張によるストレスの増大で脳に負担がかかっていることなどが原因です。物忘れが多くなったと感じている人は、クルミを食べる習慣をつけてみては。ただし、ナッツは、体調によりアレルギーを起こすこともあるので注意を。花粉症の人はヘーゼルナッツでアレルギーを起こすことがあります」

 

そして今回、ナッツとの組み合わせとして工藤先生が提案する「生薬」とは、漢方薬の原料にもなる植物や動物、あるいはその一部を用いた天然由来の薬のこと。身近なものでは、シソ、ショウガ、シナモンなどが知られている。

 

「東洋医学では、体の中で『気』『血』『水』の3つの要素がバランスよく循環していることが心身の健康を保つうえで重要だと考えます。このうちどれかが不足したり、滞ったりすると不調を起こすのです。生薬には、その不足や滞りを改善する働きがあり、根本から体質を変えて自然治癒力を高める効果が期待できます」

 

3要素の1つ「気」とは、活力や活動のベースとなるエネルギーのことで、流れが滞ると気の巡りが調節できず、自律神経のバランスを崩しやすくなる。この場合、シソ、ショウガ、陳皮(ミカンの皮)などが有効だ。

 

次の「血」とはその名のとおり血液のこと。不足すると貧血や精神失調を引き起こす。ナツメやクコの実などが改善に効果がある。

 

最後の「水」は、汗やリンパ液など血液以外の体液。不足したり、流れが悪くなると肌荒れやむくみの原因となる。ショウガ、陳皮などを取るのがいい。

 

「お悩みの不調に合わせて生薬を選び、さらに自分が目的とする効果のあるナッツを組み合わせて日々の食卓に取り入れてみては。今、花粉症に苦しんでいる方には、抗炎症作用のあるショウガとクルミがおすすめです」

 

「女性自身」2021年4月6日号 掲載

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