■受診遅れの人たちにあった共通点とは
「受診の遅れで1番多いのは、37度前半の微熱があるケースです。また、熱の症状で来院する人の9割が2~3日以上経ってから来ます。当日に来る人はほとんどいません。しかもその間、自宅で様子を見てからということではなく、“周囲に黙って”普通に日常生活を送っている人がほとんどです。尾身会長が言う『7~10%』というのは長崎県のデータなので、都内では実際にはもっと多いと思います」(筋野院長)
さらに、その人たちには「共通した点がある」と筋野院長は指摘する。
「皆さん決まって言うのが、『味覚・嗅覚障害がないから大丈夫だと思った』ということです。普通の風邪との違いとして大きくメディアで取り上げられたのが味覚・嗅覚障害なので、『新型コロナ=味覚・嗅覚障害』というイメージが強くなり過ぎて、無症状や単なる風邪の症状はあまり意識されていない印象です。また、『周囲に感染者がいなかったから』という人も多いです。濃厚接触者ではなくても感染リスクは当然あります」
また、ニュースでは、深夜まで路上で騒ぐ若者などの映像が流され、若者が悪者にされがちだが、実際には「30代後半~40代が多い」という。
「『相手先があって行く』といったケースも多く、急なキャンセルなどが許されにくい、仕事に責任のある立場は理解できます。しかし、今は微熱などでも新型コロナに感染している可能性があるという前提で、会社側が『仕方がないこと』として、体調が少しでも悪けば会社に来ないよう徹底し、急なキャンセルにも会社が対応できるようにしておくことが大事です」(筋野院長)
30代、40代は普段病院に行く機会も少ないため、かかりつけ医がいない人も多く、急な場合の対応が遅れるといった背景もあるそうだ。
「少しでも疑わしい症状があれば、その日のうちにPCR検査ができるところを受診し、結果が出るまでは自宅で待機してください。症状が出始める前後が一番感染力が強いので、何日も経ってから受診するということは、散々ウイルスをバラ撒き散らした後ということです。『風邪だろう』という思い込みは感染を広げる恐れがあるので危険です」(筋野院長)
そして、変異株が従来型から置き換わってきた今こそ、さらなる注意が必要だという。
「最近、こうした仕事の現役世代で陽性になった人の8割以上が、サージカルマスク(不織布マスク)ではなく、布やウレタンマスク等を使用されていました。変異株は感染力が強いので、これまでは布やウレタンでも防げたものが、防げなくなってきている可能性もあります。仕事に行って人と接する機会がある場合などは、サージカルマスクを使った方がいいと思います」(筋野院長)
1年前、新型コロナが全くの未知のウイルスであった頃に比べ、すっかり慣れてしまった今こそ、襟を正してワクチンが行き渡るまで乗り切りたい。