“腸活によい”イメージの食品にも落とし穴が…(写真:アフロ) 画像を見る

「健康のため、ダイエットのためなどと思って食べているものが、反対に腸にダメージを与えてしまうケースが増えています」

 

そう警鐘を鳴らすのは、漢方薬店kampo’sの薬剤師で薬学博士の鹿島絵里さんだ。

 

近年、腸内細菌の働きに関しては急速に解明が進んでいる。ダイエットを含む代謝機能、アレルギー疾患を含む免疫機能、情緒や精神分野などの働きなどがあり、腸は私たちの体調と密接に関わっているのだ。

 

「“第二の脳”とも呼ばれる腸ですが、ここ数年で、食品添加物によって腸内環境が悪化してしまうことがわかってきたのです」(鹿島さん・以下同)

 

食品添加物は数多くあるが、なかでも鹿島さんが特に注意を促すのが「人工甘味料」「乳化剤」「保存料」の3つ。 まず人工甘味料。私たちが大好きな“甘み”を作り出す添加物だ。

 

「人工甘味料は、『カロリーオフ』や『カロリー0』などとうたった飲料や食品に使われています。さらには、ヨーグルトやキムチなどのいわゆる“腸活によい”というイメージのある食品にこうした人工甘味料が使われていることも少なくありません」

 

人工甘味料は、腸内での酪酸の産生を減少させることがわかっているという。

 

「酪酸は腸内で抗肥満の働きをしてくれる物質。よって“カロリーゼロ食品”を取り続けて酪酸が減少すると、ダイエットどころか、かえって肥満を招くことにつながりかねないのです」

 

次に乳化剤。これは油と水を混ざりやすくする働きをする添加物で、チョコレート、マーガリン、アイスクリーム、菓子類など多くの食品に使われている。乳化剤のうち、カルボキシメチルセルロースとポリソルベートという物質が特に要注意の成分だが、食品のパッケージには、多くの場合「乳化剤」とだけ表記されている。

 

「私たちの腸内は薄い油でできた粘膜で保護されていて、この粘膜は腸を外的な刺激から守るバリアの役割を果たしています。ところが、乳化剤によって腸内細菌叢がダメージを受けてしまうのです。すると、腸の炎症が起こりやすくなり、免疫力が弱くなる、アレルギー症状などの炎症反応が出やすくなる、といったトラブルの原因になります」

 

ごほうびスイーツが、腸にはつらい刺激になりうることを頭に入れておこう。最後が保存料。安息香酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムなどがある。食材の見た目を鮮やかにする「発色剤」として、ハム、ベーコン、たらこなどに使われる添加物だ。

 

「これらはカビや細菌などを増殖させない保存料としての役割もある合成物質です。しかし、腸に必要な細菌までも抑制してしまうことがあり、腸内環境のバランスを乱してしまう恐れも」

 

抗炎症作用が抑制された結果、免疫力の低下を招き、アレルギー疾患などを誘発しやすくするのだという。 現代においてはすべての食品添加物を避けるというのは現実的ではない。だからこそ、鹿島さんは、「食品成分表示」をきちんとチェックする習慣をつけるべきと話す。

 

「まずは意識するところから。それが体に入れる食品添加物を減らすことの第一歩です。リストにあるような添加物の“取りすぎ”に気をつけてください」

 

健康志向があだになってしまうことのないよう、自分の体内に取り込む食品について気を配ろう。

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