都心では6月末に6日連続で猛暑日を記録/東京駅前(写真:共同通信) 画像を見る

6月27日、関東甲信などで、例年よりも早く梅雨が明けたとたん、関東の内陸部は40度超えの“殺人的な熱波”に見舞われた。

 

「今年の暑さは例年とは異なります。熱中症にならないためにも、ふだんから対策を講じることがとても大事です」

 

そうアドバイスするのは帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長の三宅康史先生だ。

 

体内の水分が不足すると、血液がドロドロになり、熱を体内から運び出す血液自体を十分に冷やすことができなくなってしまう。そこから脳や臓器の温度が上がり続けることになり、機能が低下し、さまざまな症状が出る。血液の温度を下げ、内臓を冷やすためには、首や脇の下など“太い静脈”が走る部分を氷のうなどで冷やすのが効果的だという。

 

「洗面器の冷水に手を1分つける、両手で保冷剤を握るなどするのもいいでしょう。手のひら、足の裏には毛細血管の10倍の太さのAVAという血管があります。この血管を冷やすと、冷たい血液が全身をめぐり、効率よく内臓の温度を下げることができるのです」(三宅先生)

 

両手に握るのは冷たいペットボトルでもいいそうだ。

 

室内にいても熱中症になってしまうことはある。エアコンは必ず使うこと、と三宅先生は忠告する。 「冷たい風が苦手だという人は、扇風機やサーキュレーターをエアコンと併用しましょう。冷気が直接肌に当たるのを防ぎ、空気が攪拌されて、部屋全体を冷やすことができます」(三宅先生)

 

また、マスク生活も熱中症のリスクを高める要因のひとつともいわれている。

 

「がんばって呼吸をしようとするのは、運動をするのと同様に体内に熱を作ります。その熱は、本来顔の毛細血管が広がることで放熱されるところを、マスクをしていると熱がこもりやすくなってしまいます。外に出たら、状況に応じてマスクを外して深呼吸をしましょう」(三宅先生)

 

ふだんから熱中症を防ぐためには、外出時も「首を冷やすのが重要」と語るのは、天気痛ドクターで、愛知医科大学客員教授・中部大学教授の佐藤純先生。佐藤先生は、外に出るときは常にハンディーファン(小型扇風機)とタオル、水、塩アメを携帯するという。

 

「タオルを水で濡らして首に巻き、ハンディーファンで首を冷やすと、冷感が得られ、体温の上昇を抑えることができます。首を通る頸動脈の上を濡れタオルで覆うと効果的です。私が使用しているハンディーファンは、両手が使える首にかけるタイプ。本体に体温を下げる金属板がついていて、ひんやりと気持ちがいいのでおすすめです」(佐藤先生)

 

外にいるのが長時間におよぶときは、インナー類の着替えもタオルとともに携帯しよう。

 

「濡れたものを体にまとっていると、皮膚表面の湿度はほぼ100%。サウナに入っているのと同じ状態になります。汗をかいたらきちんと拭き、濡れたインナーは替えたほうがいいでしょう」(佐藤先生)

 

もちろん水分補給も欠かさずに。喉が渇く前に飲むのが基本だ。1時間おきにコップ半分(100 mmリットル)や、2〜3口飲む、とルール化しておくのもよいだろう。外出時には水を飲む頻度を上げるようにしたい。塩分濃度0.1〜0.2%のスポーツドリンクや経口補水液が熱中症予防には最適だという。ミネラルウオーターや麦茶であれば、塩アメ、塩こんぶなどで塩分も併せて取るようにしよう。

 

「ただし、心臓に疾患のある人は、水分と塩分を摂取しすぎると心不全のリスクが高まってしまいます。持病がある人はかかりつけ医と相談しながら目安を決めるようにしてください」(三宅先生)

 

まだ7月に入ったばかり。酷暑は続くが、体を冷やすワザを活用しつつ、三度の食事と規則正しい生活を維持して、体調管理に努めていこう。

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