画像を見る

運動機能が衰えると、やがて寝たきりになるリスクを高めてしまう。なるべく体を動かさなければとわかってはいても、さまざまな理由をつけて、結局体を動かさないという人も多いだろう。

 

「私はリウマチ内科医として関節リウマチの患者さんを多く診てきましたが、関節に痛みがあると、体を動かす機会が減少しがちです。そこから関節の可動域が狭くなると、筋肉の動きも悪くなり、萎縮して運動機能が落ちる……といった悪循環に陥ってしまうことに。コロナ禍で運動量が減っている人も要注意です」

 

そう警鐘を鳴らすのは、そしがや大蔵クリニックの中山久德院長。私たちの体の筋肉量は、20代をピークに徐々に減少していく。体を動かさないでいると、加齢や病気によって生じる虚弱の状態「フレイル」のリスクが高まる。日ごろからスクワットなどの筋力トレーニングをしていれば筋力を維持することができるが、運動習慣がなく、体力にあまり自信がない人や、ひざや股関節にトラブルを抱えている人は気をつけたい。そうした人たちへ向けて中山院長が勧めているのが、「足ブラブラ運動」だ。

 

「外に出る必要もなく、スキマ時間で簡単にできます。この運動を毎日続けることで、股関節がスムーズに動くようになり、立つ、歩くといった基本的な動作がラクに行えるようになっていきます」

 

この運動で得られるメリットは、大きく2つ。

 

「1つ目は、大腿四頭筋や大臀筋といった大きな筋肉に加え、日常生活ではあまり使わない筋肉を稼働させること。加齢や病気によって筋肉量が減少し、身体機能の低下が起こるサルコペニアやフレイルの予防に役立ちます。もう一つは運動によって分泌される『マイオカイン』という物質が、体によい効果をもたらすことが、近年の研究でわかってきました」(中山院長・以下同)

 

注目の物質「マイオカイン」とは、運動などで筋肉が収縮したときに、筋肉から絞り出される筋肉作動物質の総称だ。

 

「マイオカインは、肥満や糖尿病を抑える働きのほか、肝臓で脂肪を分解したり、血圧を安定させ動脈硬化を防ぐなど、生活習慣病予防に効果があることが明らかになってきています」

 

【図解】朝昼夜3セット「足ブラブラ運動」のやり方

 

 

「足ブラブラ運動」は、“少しずつゆっくりと”マイオカインを出すことができる点で優れているという。やり方はその名のとおり、足をブラブラさせるだけ。椅子の背もたれや机につかまった状態から、片方の足を10回、振り子のように前後左右に動かす。1セットこなすのに必要な時間は1分ほど。これを朝昼晩と3セット行えばOK。慣れてきたら反動を大きくするとより効果的だ。まだまだ暑い日が続くが、このトレーニングなら簡単に取り組めるはず。気づかぬうちに体が衰えてしまうことのないよう、さっそく足をブラブラさせてみよう。

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: