夢は看護師。自分のような子供を支える存在になりたい(写真:家族提供) 画像を見る

長い入院生活を経て、将来の夢は“看護師さん”になったーー。「きっと私は誰よりも、小さな子の気持ちをわかってあげられるはず」。そう語る心優しい少女の命は、円安の影響もあって危機に瀕している。

 

「『助けてください! お願いしますーー』海外での心臓移植を決意したとき、募金活動をしてくれる“救う会”のメンバーに、涙ながらにそう訴えていた娘の姿が忘れられません」

 

そう語るのは“このちゃん”こと五十嵐好乃ちゃん(10)の母・瑞美さん(47)だ。難病である拡張型心筋症を患うこのちゃん。生きる道は心臓移植しか残されていないが、日本では小児の臓器提供者が極端に少ないため、海外での手術を選択せざるをえないのが現状だ。

 

もともと、渡航手術には高額な費用がかかったが、この円安によって費用が急増したと父・好秀さん(46)は語る。

 

「手術を決意した昨年末の段階では、過去の事例から、渡米しての移植費用は3億円から3億5千万円ほどと予想していました。しかし、海外の受入れ先病院が見つかり、11月14日に募金活動を開始した時点では、円安の影響もあり、費用の総額は5億4千万円に膨れ上がっていました。個人ではどうにもならないので、みなさんのご支援をたまわらなければなりません」

 

渡航費、現地での医療費、滞在費などが、円安により、以前の1.5倍近く必要になった。11月29日時点で、必要とする額の8.6%しか資金が集まっていないのが現状だ。

 

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