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1月19日、日本気象協会が’23年春の花粉飛散予測を発表。この春の飛散量は、東北〜九州で前年より多く、特に関東甲信・東海・近畿・四国では「非常に多く」なるという。それもそのはず、環境省は、関東・北陸・中国地方のスギの雄花についている花粉量が過去10年で最大となっていると報告しているのだ。

 

「くしゃみや鼻水など、すでに症状が出て、受診している方もいます。飛散量の多くなる今年は特に早期対策、早期治療が大切です」

 

こう指摘するのは日本医科大学附属病院耳鼻咽喉科部長の大久保公裕先生。花粉症によるアレルギー性鼻炎は、いったん症状が出ると鼻の粘膜が敏感になってしまい、症状がより強く出やすくなったり、治りにくくなる。

 

「花粉症は最初から重症になるわけではありません。症状が出る前や出始めたときから薬を飲んで治療し“初期消火”することで、重症化を防ぐことができるのです」

 

例年花粉症に苦しむ人は、症状が出る飛散日前に受診するのが理想、と大久保先生。

 

「軽度であれば初期からの内服薬で十分に効果が得られます。以前は口の渇きや眠気などの副作用を懸念して服用を控える人もいましたが、いま主流の薬はこれらの欠点を克服した第二世代の抗ヒスタミン薬。受診が難しい人は市販薬でも同様のものが手に入ります。

 

また、重症のスギ花粉症については、アレルギー反応を未然に抑制するIgE抗体療法も選択肢。この治療で、症状がほとんど出なくなる方もいます」

 

’19年から始まったIgE抗体療法の「ゾレアR」。2週間または4週間に一度皮下注射をすることで、花粉症の症状をかなり改善できるという。費用は、保険適用で1月5千〜7万円ほど。ただし、スギ花粉に対するIgE抗体の数が一定を超えるなどの条件を満たした患者のみが対象となる。

 

「抗体療法を試してみたい人や、中程度か重症なのか自己判断できない人、まだ発症していないが予兆があるという人は一度医療機関を受診し抗体量を測るとよいでしょう。花粉症の重症度を把握しておくことで、治療の選択がしやすくなります」

 

また、粘膜が乾燥すると花粉を感知しやすくなり、症状が重くなってしまう。

 

「まずはマスクやメガネで防御し、就寝中も加湿を心がけることが大事。すでに微量ではありますが花粉は飛んでいるので、これらの対策は、今すぐはじめてください」

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