12月ごろまで旬を迎えている柿。そのまま食べてもおいしく、干し柿になるとかさが減ってついたくさん食べてしまうことも。
ナビタスクリニック立川の医師・久住英二さんが語る。
「柿は抗酸化作用があるビタミンCが豊富です。また、柿のだいだい色のもととなっている成分は、βカロテンです」
βカロテンは抗酸化作用があり、美肌効果などうれしい効能が。さらに体内では皮膚や粘膜を健康にするビタミンAに変換されるのが特徴だ。まさに体にとってうれしい果物だが──。
「食べすぎは要注意。柿胃石のリスクがあります。果物を食べると、皮やタネなどが絡み合って胃石ができたりしますが、病院で診るようなケースでは、7~8割が柿が原因と考えられます。柿の渋味の主成分・シブオールが、胃酸や食物繊維と絡み合って塊になってしまうのです」
症状としては、胃の不快感や胃痛、膨満感、吐き気、嘔吐など。柿胃石が、幽門といわれる胃の出口をふさぐようなところにあれば、消化が阻害されたり、満腹感が持続したりする。
「さらに柿胃石が胃から出てしまい腸に移動したら、腸閉塞を起こす危険性もあります。腸に穴が開き、膵液や細菌が漏れ出して腹膜炎を起こせば、命にも関わります」
甘く見てはいけない柿胃石は、どのように見つけられるのか。
「判別方法としてはCTなどもありますが、最も確実なのは胃カメラで直接見ることです。症状を起こすような2cmを超える大きさの柿胃石となれば、内視鏡などで取り出すことは困難です」
柿は1日1個まで食べすぎ厳禁 そこで注目されているのがコーラ療法。’08年、日本消化器内視鏡学会雑誌では、『コカ・コーラによる溶解療法が有効であった柿胃石の1例』と題した論文が掲載されている。
報告によると、干し柿(つるし柿)を6個食べた後に症状を訴えた男性が、入院中、コカ・コーラ500ミリリットルを1日に2回飲んだり、12時間かけてチューブでコーラ3リットルを胃に注入するなどして、5cmあった胃石を軟化させ、徐々に小さくして、消失させたのだという。
「去年には中国から“コーラ療法”の報告がありました。おそらくコーラに含まれるシュワシュワとした炭酸によって、石を壊したのだと思います。ただ、注意しておきたいのは、柿を食べて腹痛が起きた場合、自己判断でコーラを飲まないこと。崩れた石が腸に流れ込み腸閉塞になる可能性もあるので、あくまで医師の診断のもとで行う治療です」
こんな事態にならないために、柿や干し柿の食べすぎは要注意だ。
「一般的に、果物には果糖も含まれているので、食べすぎはよくありません。1日に適量の果物の目安は、拳1個分と言われているので、柿であれば1個程度でとどめておいたほうがいいでしょう」