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今年は酷暑の中、全国でゲリラ豪雨が頻発し、台風が連続襲来している。そんななか、頭痛やめまいなどの体調不良を訴える「気象病」の人が相次いでいる。

 

「台風10号が南に発生した、8月24日(土)ごろから、体調が悪くなったという人が続出しています」

 

そう語るのは、せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司院長。2016年に同クリニック内に「気象病・天気病外来」を開設してから、延べ6千人以上の診察にあたっている。

 

「今年は昨年に比べて新規の患者さんが1.5~2倍のペースで増えています。特に40代以上の女性が圧倒的に多いです。長引く高温多湿で疲れがたまっているところに、豪雨がしょっちゅう起きているので、気圧や気象の変化に体がついていかないことが、患者数増加の原因だと考えられます」(久手堅院長、以下同)

 

気象病は梅雨の時期や季節の変わり目に出やすい特徴があるが、今年はゲリラ豪雨が頻発して、大きな台風も襲来しているせいか、夏のうちから気象病の患者が出ているという。

 

「台風でいうと、日本列島を通過する前と後に具合が悪くなります。太平洋の南の海上で台風が発生したら、東京は晴れていても、不調を感じる人が出始めます。

 

症状で多いのは頭痛と倦怠感で、頭痛はズキズキ痛む片頭痛と、首や肩こりと同時に、こめかみをしめつけるような痛みが襲う緊張性頭痛の2通りがあり、片頭痛がひどくなると吐き気をもよおす人も。

 

またふだん血圧が低い人は血圧が変動することでめまいや動悸、息切れを起こし、さらにはメンタルの不調と、いくつもの不調が同時に現れてきます」

 

人の体の中で、気圧の変化に反応するのは耳の鼓膜の内側にある“内耳”という部分だ。内耳で気圧の変化を感じると、脳の中枢に信号が送られて、自律神経を介して体を順応させようとする。こうして自律神経が乱れることが、気象病の原因といわれている。

 

「特に更年期は、女性ホルモンが減ることによっても自律神経の乱れなどが出やすくなります。その状態で低気圧が近づいてくると、ダブルパンチでもっと強く症状が現れることがあり、なかには寝込んでしまう人もいます」

 

今年は、これまで気象病になったことがない人の発症が増えている。更年期と症状が似ており、原因を勘違いする人もいるという。

 

「もともと姿勢が悪く骨格がゆがんでいる人は頭部と内耳の位置が安定しにくく、自律神経が乱れやすい。肩こりや頭痛持ちの人も、少しの変化で、症状が出やすくなるので注意が必要です」

 

クリニックでは、代謝を高めて余分な水分を排出する働きがある漢方の「五苓散」をベースに、肩こりや頭痛など特につらい症状を和らげる薬を処方するそうだ。同時に、不調を感じたらいつでもどこでもできる「耳まわし」などのマッサージを患者に勧めているという。

 

「緊張性頭痛が出ているときは頭皮や目のまわり、こめかみをマッサージするだけでも違います。『耳まわし』は、耳たぶを持って前後に大きくゆっくり20~30秒ほど回します。

 

耳を水平に伸ばしたり、斜めに引っ張ったりして10秒キープすると、耳の周りの血流が促されます。薬だけに頼るのではなく、ふだんから血流を促す、姿勢をよくして睡眠を取るなど生活習慣を整えておくと、気圧の変化にも対応できるようになりますよ」

 

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