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花粉飛散のピークが近づくなか、ダメージを抑えるために気をつけたいのが、毎日の食生活。ふだん好んで食べているものが、アレルギー症状の引き金になっているかもしれないのだ。天気予報で、花粉の飛散量が〈非常に多い〉と注意喚起されることも増えてきた。

 

花粉症は、花粉によってアレルギー反応が起こっている状態のこと。抗原(花粉)に対して体が過剰に反応し、鼻水、目のかゆみや違和感、皮膚トラブルといったさまざまな症状を引き起こす。今年は都内でのスギ花粉飛散開始が統計開始以来もっとも早くなるなど、花粉症に苦しむ人の数は例年以上となりそうだ。

 

「3月に入り、極端に暖かい日が増えてくると、花粉が一気に飛散します。東洋医学では花粉やウイルスなど、外から侵入してくるものを『外邪』と捉えています。外邪から身を守る力を『衛気』と呼び、衛気は皮膚や鼻・気管支などの粘膜細胞を強化し、免疫力を整え、外的刺激から体を守ります。

 

花粉やウイルスなどの外邪が体内に侵入すると、その外邪との闘いで生じた『熱』が全身の部位に飛び火して、花粉症の症状が現れると考えられています。花粉症の人もそうでない人も、ふだんから衛気を高めておく必要があります」

 

そうアドバイスするのは、東洋医学に詳しい源保堂鍼灸院副院長の瀬戸佳子先生。瀬戸先生がふだんから来院者に伝えている花粉症対策は、「花粉を(体内に)侵入させない」「花粉をため込まない」「アレルギー反応をゆるめる」の3つ。

 

「外邪でもある花粉を体内に入れないために、実は肌荒れ対策が大切です。花粉症の対策というと、目や鼻、口からの侵入に対して対策を講じることが多いと思いますが、実は乾燥肌で肌荒れを起こしているときに花粉が付着すると、そこから体内に侵入してしまいます。花粉の侵入を防ぐためには、乾燥肌を防ぐことも重要なのです」(瀬戸先生、以下同)

 

乾燥肌防止には、加湿器をつけたり、保湿クリームを塗るなどの対策をとる人が多いが、実は皮膚と内臓は密接につながっており、乾燥肌は内臓の不調からも起こる。

 

「全身に流れている衛気は、皮膚の表面を外邪から守る働きをしています。衛気の働きを弱めるいちばんの原因は体を冷やすこと。特に、衛気が作られる、おへその下あたりにある『丹田』が冷えると、衛気の流れが弱まり皮膚の不調につながってしまうのです」

 

内臓の不調を招く大きな原因の一つとして、食習慣があると瀬戸先生は指摘する。今回は、体のバリア機能を低下させ、花粉症の症状の悪化につながる、注意すべき食材について、瀬戸先生に解説してもらった。

 

まず気をつけたいのは、体を冷やすアイスクリームやジュースなどの冷たいもの、刺身や生野菜など生の食べ物。このほか、意外にも甘いものがおなかの冷えにつながるのだという。

 

「東洋医学では、甘いものは『湿邪』と言い、湿気を体の中に溜め込むとされます。甘いものを多く取ると、その湿気が胃腸に停滞することで、体が冷えてしまうのです。

 

特に気をつけたいのは、チョコレートやケーキなどのスイーツ。冷えのほか、内臓への負担にもつながってしまうので、花粉症の時期は控えたほうがいいでしょう」

 

次に控えたい食べ物は「肝臓に負担をかける食材」。

 

「花粉などの異物が体内に侵入すると、体はそれらをため込まないよう、体外に排出しようとします。体内の解毒作用に重要な働きをしているのは肝臓。花粉症対策では、肝臓に負担をかける食材を減らすことも大切です。

 

春はお花見などでお酒を飲みたくなる機会も多いでしょうが、アルコールは控えめにしましょう。ほかに摂取を控えたいのは乳脂肪。乳脂肪分が多い食べ物は牛乳、ヨーグルトなどです」

 

ヨーグルトといえば、腸内環境を整える働きから、花粉症の時期は積極的に取りたいと聞くが……。

 

「脂肪分を含むヨーグルトの食べすぎには気をつけましょう。1カップ程度であれば問題はありませんが、食べるのであれば冷たすぎず、脂肪ゼロのタイプをおすすめします」

 

菓子パン、カフェラテなど、乳脂肪分と糖類の合わさったものにも気をつけよう。朝はヨーグルトにカフェラテ、という習慣が、くしゃみを悪化させているかもしれないのだ。

 

そして控えたい3つ目の食べ物は「余分な熱をため込む食材」。

 

「花粉症を含めてアレルギーは炎症反応です。『アレルギー反応をゆるめる』とは、炎症を生じにくくすること、あるいは抑えていくこと。炎症を強くする原因となる余分な熱を体に溜めてしまう食事はできるだけ控えましょう。

 

激辛フードやにんにくなどの香辛料がたっぷり入った脂っこいラーメンや餃子、味の濃いカレーなどを頻繁に?べていると、体に熱がこもり、炎症が起こりやすくなって花粉症の症状が悪化することがあります」

 

体内に熱がこもった状態は、乾燥肌の原因にもなり、肌荒れから体に花粉が付いた際に体内に入り込みやすい状態も招いてしまうという。激辛メニューが好きな人も、花粉症の症状があれば避けるようにしたほうが安心だ。

 

反対に、積極的に食べたいのはキャベツ。キャベツは胃腸を整え、肝臓の解毒を促す作用がある。

 

「胃腸が元気でないと免疫力も高くならないので、胃腸の調子を整えましょう。キャベツのほか、菜の花やブロッコリーなどアブラナ科の野菜も解毒を促します」

 

食習慣によって花粉症を悪化させることのないよう、毎日の食べるものに注意しながら、つらいピークをなんとか乗りきろう。

 

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