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作家・向谷匡史氏の近著『ヤクザ式 最後に勝つ「危機回避術」』(光文社新書)から、かつてガッツ石松氏が語っていた「喧嘩の要諦」を公開しよう。

 

 

私たちは、「逃げる」をカッコ悪いことと思ってはいないだろうか。

 

とくに一般市民は危機に遭遇することが少ないため、いざトラブになっても、「男は退いてはならない」と理想の概念でとらえてしまう。逃げることをカッコ悪いと思ってしまう。さっさと逃げればよさそうなものを、やけっぱちになって飛びかかっていく。勝てればいいが、ヘタすりゃサンドバッグ。ボロ雑巾にされてしまうことだろう。

 

「ヤバイと思ったら逃げよ」と説くのは、人気タレントのガッツ石松氏だ。元WBC世界ライト級チャンピオンで、武勇伝は数知れずという「ケンカのプロ」でもある。そのガッツ氏に取材したとき、ケンカの要諦について、こんな名言を口にした。

 

「来るならこんかい戦車隊。来たら逃げるぜ航空隊」

 

どういうことかというと、「来るならこんかい!」と戦車隊を率いる気概でバーンと威嚇する。それで相手が恐れ入ってくれればよし。「上等じゃねぇか!」と居直って攻めてきたら、「逃げるぜ航空隊」で素早く離陸し、スタコラサッサと退却。

 

「被害者」として交番に駆け込めば、あとはお巡りさんが処理してくれる──というのがプロのケンカ術だと説明してくれた。ガッツ氏の言葉には、「逃げるのはカッコ悪い」といった軟弱なヒロイズムは微塵(みじん)もないのだ。