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(イラスト:るるてあ)

 

頑張って働いても家事をしても、夫も子どもも当然という顔……。あ〜誰でもいいから褒められたいなぁ。そんな褒められ不足の女性たちの心にそっと寄り添ってくれる「コウペンちゃん」が人気だ。「ちゃんと起きて、えらい!」「おふろはいってえらーい!」と、どんなささいなこともかわいらしい赤ちゃんペンギンが優しく“肯定”してくれる。

 

今年4月にイラストレーターの“るるてあ”さんがツイッターで投稿するや、「かわいくて癒される」「不覚にも涙が出てきた」「最近こんなに認められることってない」と、大反響。3,000人だったフォロワーは投稿1カ月で12万人を突破し、現在は16万人を超える勢いだ。4月24日にはLINEスタンプ「肯定ペンギンのあかちゃん」(価格120円)がリリース。5月には月間売り上げでMVPを獲得した。

 

優しさあふれる「コウペンちゃん」は、どんなきっかけで誕生したのだろうか。生みの親である、るるてあさんに話を聞いた。そもそもはツイッターで、趣味のマーチングバンドのイラストを投稿していたるるてあさん。高校や大学などさまざまなバンドのユニホームを描くことでじわじわフォロワーが増えていったという。

 

「3,000人くらいに増えたころでしたが、私は毎朝7時に出勤する日々を送っていました。夜遅くまでイラストを描いていたこともあり、会社に行くだけで疲れていて。ちょうど4月頭で『みんなも仕事、大変だろうな』と思い、皇帝ペンギンに引っかけて、赤ちゃんペンギンが『出勤してえらい!』と“肯定”するイラストを出勤前にツイッターに載せてみたんです」(るるてあさん・以下同)

 

お昼の休憩時間に「どうなっているかな」とのぞいたところ、「めちゃめちゃ癒される!」とコメントが殺到していた。

 

「通勤中に電車で見てくれた人が多かったみたいです。タイミングもよかったのかな」

 

それまでも大人のペンギンのイラストを投稿していたが、反響はそれほどではなかった。「赤ちゃんキャラ」と優しい言葉がみんなの心をとらえたようだ。いまはファンのリクエストに応えながら描いているそう。

 

「『お洗濯したから褒めて〜』『着替えただけで褒めてほしいよ〜』といったご要望に応える感じです。『コウペンちゃんになったつもりで子どもを褒めるようにしたら、子どもが進んでやるようになりました』と報告をもらったときはうれしかったです」

 

思いを込めた「生きててえらい……!」というメッセージも反響は大きかった。

 

「究極ですよね。それをやめちゃう人もいるから……。この言葉もリクエストが多かったんです」

 

日々たくさんの人を癒しているコウペンちゃんだが、「起きるとか働くとか、そんなのやって当たり前だ!」と、厳しい意見が寄せられたこともあるという。

 

「そういう方々は人生の苦しさやつらさを知らないのかな、と思ってしまいます。でも、肯定されたい、褒められたいと、求めてくれる人たちのために描き続けたいです」

 

現在、「えらい」は30以上、「大丈夫だよ」なども含めるとメッセージは60以上に増えた。

 

「『えらい』がしっくりこないときもあります。『ありがとう』など別の肯定の言葉を使ったりして、恩着せがましくならないよう気をつけています」

 

しまむらとのコラボTシャツを発売するなど、グッズ化も続々進行中で、今月31日には『まいにちコウペンちゃん日めくりカレンダー』(講談社・一迅社)が発売予定だ。商品化にあたり31日分を新たに描き下したそう。

 

「『こんなことで褒められるんだ』というような、ハードルを思い切り下げたメッセージをたくさん入れています。日めくりカレンダーは一枚を何日も眺めるモノではないので、一瞬で何かを感じ取ってもらえたらいいですね」

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