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「冬は夏にくらべて乾燥しがちなのは事実ですが、部屋のなかは意外と温度が高く、最近の家屋は20度前後を保っていることが多い。そして、人間にとっての心地よい環境とカビにとってのそれは、よく似ています。冬でも暖かく快適な部屋には、カビも生えるんです」

 

そう話すのは、衛生微生物研究センター主席研究員の李新一さん。微生物による被害を防ぐ調査研究に従事している“カビマイスター”は、こう続ける。

 

「そもそも、カビはどこにでもいます。今ここにも、空気中にも浮遊していますが、小さすぎて見えません。が、カビが家のどこかに落ち着き、そこがカビにとって心地よい場所だった場合、菌糸を伸ばして成長し、姿を現します。食品や革製品などの自然素材に生えやすいですが、壁紙やゴムパッキンなどに生えることもあります」(李さん・以下同)

 

家庭にいる代表的なカビは、発酵食品にも使われるコウジカビ、食品での発生例が多いアオカビ、そしてバスルームやゴムパッキンで増殖するクロカビだ。アオカビやクロカビが増殖すると、アレルギー反応を起こすこともある。

 

「カビが増殖するには『温度』『水分』『栄養』の3つの条件が必要です。温度は20〜30度がカビにとっては最適。かつては冬場に低かった室内の温度が、最近では高くなっています。住居の機密性が上がり部屋が暖かくなったことで、結露もしやすくなりました」

 

結露は、屋外と室内の温度差で発生する。空気は高い温度のときほど多く水蒸気を含むことができる。部屋と外の温度差が高いほど暖まった空気が窓付近で冷やされ、空気中の水分が結露するのだ。

 

「家のなかに結露する箇所があれば、できるだけ頻繁に拭き取ることが大切です。カビが定着し、根を張るまでは数カ月かかります。つまり、その間に水分や定着する前のカビを除去できれば発生しません。サッシのゴムには、水分や栄養がたまりやすいため、パッキンの水滴までしっかり拭き取りましょう。カビにはエタノール除菌が有効ですが、一度黒くなったゴムには浸透しづらく、また、カビは死滅しても色が消えません。市販のカビ除去剤で黒ずみが白くなったように見えるのは漂白効果。一度生えたところはカビがすみやすい場所なので、注意して対策しましょう」

 

結露の発生する窓のそばは、当然湿度が高くなる。観葉植物や布製品もその水分を吸収し、カビの温床となるので、できるだけ遠ざけよう。また、“布”の多い寝室も要注意!

 

「布団やマットレスは水分を吸収するので、放っておくとカビが生えます。寒くても風を通し、できるだけ日光に当てましょう。布団乾燥機も有効ですよ」

 

クローゼットのなかの革製品もキケン。洋服などの布が吸着した水分のために、湿度が高くなりがちなのだ。

 

「洗濯物の乾きにくい冬場、触って『乾いてるかな?』と思うときは、乾燥不足と思っていい。そのままクローゼットに入れればカビ発生の原因に。確信が持てないときはもう1日干しましょう。クローゼット内に除湿剤を入れたり、定期的にサーキュレーターなどで風を送るのも有効です」

 

最近は窓の品質や抗菌技術が向上し、カビの生えにくい家も増えた。が、冬から水分をため込んでおくと、湿度だらけの梅雨どきには家中カビだらけ……なんてことも! 今日から窓拭きを習慣にして、カビの成長を阻止しよう!