AIJから破綻ラッシュも…「危ない企業年金」の見分け方

約2千億円の企業年金資産の大半を消失させ、問題になっているAIJ投資顧問。ニュースを見て、夫の企業年金は大丈夫? そもそも企業年金って何? などと疑問に思った人は多いはずだ。社会保険労務士の成澤紀美さんは、「今回被害にあった年金の大半は『厚生年金基金』。しかし、年金の積立金が不足している企業が多いですから、将来もらえる保証はないと思います」と話す。

現在、厚生年金保険に加入する会社員約3千500万人のうち、主な企業年金に加入するのは約5割の会社員だ。積立金の運用委託先は信託銀行、生命保険会社、投資顧問会社のいずれかになるが、よりハイリスク・ハイリターンの運用を目指すのが、AIJのような投資顧問会社。投資顧問会社のシェアは、年金資産残高の約3割(2011年3月末)にのぼる。

「AIJに積立金の30〜50%を預けていた厚生年金は財政的に困難になり、年金が減額されたり、年金制度そのもがなくなることがある」と、年金ジャーナリストの山崎俊輔さんは直言する。

年金の減額や、そもそも年金自体がなくなるというのは、決して人ごとではない。現在、同じ業種や地域の中小企業が集まって作る「総合型」厚生年金基金の9割以上は積立不足で、企業が独自に設定する確定給付企業年金でも、積立不足に陥っている企業はすくなくない。

今後はAIJ問題が引き金となって破綻ラッシュも予想される。では、危ない企業年金にはどんな特徴があるのか? その見分け方をあげてみよう。

【1】年金積立金が3年連続マイナス運用

【2】年金の積立不足が10%を超えている

【3】特定の投資顧問会社に積立金の20%以上を預けている

【4】年金受給者(OB)の数が現役世代数より多い

【5】退職金制度の見直しの話がある

【6】過去に年金給付額を引き下げたことがある

【7】年金担当者が投資対象を説明できない

【8】自分がいくら年金を受給できるのか計算してもらえない

確定拠出型以外の企業年金は、企業が掛金を拠出して運用先を決めるものなので、社員が運用先を決めることはできない。だが、自分の会社の企業年金を守るには、少しでもその情報を知っておくことが大切だ。

 

 

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