深刻ないじめ問題が報じられた'12年。子供を救うため、できることはあるのか。「全国いじめ被害者の会」代表を務める大澤秀明さんに、手掛かりとなる本について聞いた。

 

「まず、いじめがどのようなメカニズムで発生するのかを把握するべきです。『いじめの構造』(森口朗著714円 新潮社)は、いじめが起こる理由を、わかりやすい言葉で説明しています。いじめ根絶は不可能という前提に立ちつつも、いじめに立ち向かうにはどうすればいいかについても提言しています。

 

大津の事件を見てもわかるように、学校や教育委員会の発表は「いじめはなかった」というウソに終始します。それはいじめの被害者はもとより、加害者にとっても不幸なこと。更生のための措置がされないから、自分の行為がどんなにひどかったかわからない。学校がいじめを隠ぺいし、加害者を更生に導けないなら、本書のいうように、最終的には警察の力を借りなければいけません。

 

いじめは、できるだけ早期に見つけなければなりませんが、子供はいじめられていることを隠しがちです。『わが子をいじめから守る10カ条』(武田さち子著1,365円 WAVE出版)には、いじめられている子供の兆候、そうした子供への接し方などが書かれています。

 

『いじめ 予防と対応Q&A73』(菅野純、桂川泰典著1,848円 明治図書)は、教育者に向けて書かれた本。いじめが発生したら担任はどう対処すべきかという問いに、模範的な回答が述べられています。

 

私たち素人が学校や教師に改善を要求するには、無知ではいられません。学校が取るべき対応を知ることは、そのための理論武装となるでしょう。『完全版 いじめられている君へいじめている君へ いじめを見ている君へ』(朝日新聞社編1,000円 朝日新聞出版)は、内藤大助さんら63人の著名人が発するメッセージ。「相談はカッコ悪くない」「逃げてもいい」などの言葉は、心を軽くしてくれます。

 

このような声がずっと継続して発せられ、「いじめることはカッコ悪いこと」という共通認識が社会に広がれば、いじめが減っていくに違いありません」

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