最近、その名をよく耳にする「関東連合」。彼らだけでなく、日本にはこれまでも多くの「アウトロー」集団があった。その歴史に触れられる数少ない本について、元アウトロー専門誌「実話ナックルズ」の編集長・久田将義氏が解説!

「最初の暴走族といわれているのは、'60 年代後半に現れた横浜の「ナポレオン党」。当時はさわやかな大学生サークルのような感じで、リーゼントやアフロのようなディスコファッションでした。ところが、その後「極悪」というグループが出てきてから凶暴化し、現在の特攻服にパンチパーマのスタイルが確立されました。

『爆走伝説
昭和という時代を駆け抜けた青春』(零拠企画編2,800
コスミック出版)は、初期の暴走族の写真集。私も初めて目にする貴重な写真が多数、掲載されています。時代とともに、暴走族が変貌する過程を写真で追うことができます。

『シャコタン・ブギ暴走族女リーダーの青春』(戸井十月著1,029
角川書店)は、4千人からなる暴走族「キラー連合」を率いた女性リーダーのノンフィクション。男女雇用機会均等法ができる10年も前に、女のコが男社会の暴走族に入り、リーダーになったのです。私の知る限り、暴走族の歴史の中で女性がリーダーになったのは彼女だけです。女性が現代を生き抜くヒントになるかもしれません。

『紫の青春
~恋と喧嘩と特攻服~』(中村すえこ著1,260
ミリオン出版)は、レディース(女性だけの暴走族)のリーダーが、母となり家族を作るまでを、赤裸々に語った自伝。「不良少女の人生なんて」と顔をしかめる人もいるかもしれませんが、共感できる部分も多いはずです。

『不良録 関東連合元リーダーの告白』(石元太一著1,260
双葉社)は、市川海老蔵殴打事件にも関与した、元関東連合リーダーの自伝です。マフィア化している現在の関東連合の内部にいた者が書いた本は、ほかにありません。ただ、映画化を目指して作られた本なので、美化され、核心には触れていないように感じます。ちなみに著者は現在、詐欺容疑で逮捕されています。

最後に、ヤクザ取材の第一人者による『暴力団』(溝口
敦著735
新潮社)。こちらにも、関東連合についての詳しい解説があります。『不良録』と比較しながら読むと、より実情に迫れるのではないでしょうか。関東連合のOBが、振込め詐欺などに手を染めているという記述には、なるほどとうなずかされます」

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