話題のスポットやニューオープンのお店を、本誌編集者・めた坊(41歳独身。食いしん坊生活が続き、身長170センチで体重はかろうじて0.1トンを切るメタボ体形に成長)が覆面取材。“勝手に対決”させるこの企画。今回は、秋の「禅」美術展対決だ!
■出光美術館「大仙がい展−禅の心、ここに集う」
最初に向かったのは、出光美術館の「大仙がい展−禅の心、ここに集う」。江戸時代の禅僧・仙がいが手掛けた禅画は「ゆるかわ」「脱力系」などと言われ人気を集めている。思わず顔がほころぶ温かさを持っていて、なんとなく穏やかな気分に。
出光興産の創業者・出光佐三氏も仙がいの画風がお気に入りでコレクションしていたそう。当時もその軽妙なタッチがウケて、あまりの依頼の多さに断筆宣言をしたほどなんだとか。
どの作品もおすすめの中、特にめた坊のお気に入りは、動物の禅画。犬、猫、たまたま網に引っかかったトドなど、かわいらしい絵柄に心がほっこり。かと思えば、抽象的な『◯△□』と毛色が違った作品もあって面白かった。
画風からもわかるとおり、仙がいは気さくで多くの人に愛されていたそう。大出世の機会もあったのにそれを固辞、一人の禅僧として生涯を過ごしたその生き方も作品に重ねるととても味わい深い!
■東京国立博物館「禅−心をかたちに−」
つぎは東京国立博物館で開催中の「禅−心のかたちに−」へ。こちらでは臨済禅師1150年、白隠禅師250年の遠諱を記念し、全国から集められた禅宗に関する名品が展示されている。国宝22件、重要文化財102件の合計240件でかなり見応えのある内容。こちらも観覧人数が多く、禅の人気をあらためて感じることができた。
まず、最初にお出迎えするのは、江戸時代の名僧で臨済宗の中興の祖・白隠禅師の「達磨像」。縦約2メートルに描かれた作品は迫力満点!ほか、南禅寺にある水飲み虎として有名な「群虎図」は、水墨画が多い中で金箔が使われていることもありひときわ輝きを放っていた。
修行中の禅僧の生活の様子も知りことができ、禅の歴史、文化、美術と禅ずくめの時間を過ごすことができた。建物を出るころには精神が落ち着きヒーリング効果は絶大だ!
【めた坊ジャッジ】展示を見ているうちになんだか禅の境地に達することができたような気分に。なので、今回は引き分けだ!