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現在、千葉県・国立歴史民俗博物館では日本独自のおみやげ文化について、資料約1,300点を展示し、おみやげの変遷や背景をたどる企画展示「ニッポンおみやげ博物誌」(9月17日まで)が開催され話題になっている。

 

「日本でいうおみやげは、自分のためではなく、家族や友人・知人に手渡すことが主な目的。自分のためではなく、誰かのためのギフト的要素を含むおみやげ文化は日本特有の文化とも言えるのです」

 

そう語るのは、歴史学者の鈴木勇一郎さん。鈴木さんは『おみやげと鉄道 名物で語る日本近代史』(講談社)などの著作もあり、古今東西のおみやげ文化に詳しい研究者だ。

 

欧米では観光地や空港などで、Tシャツやマグカップなど自分の旅の思い出のためのおみやげはたくさん見かけるが、誰かのために買って配るようなおみやげはあまり見かけない。ハワイのマカデミアナッツチョコレートや台湾の鳳梨酥(パイナップルケーキ)のようなみやげ菓子もあるが、日本のようにみやげ売場の大半をお菓子が占めていることはないのだ。

 

「せっかくここに来たんだから、家族と一緒に食べられるおいしいものを買って帰ろう」「職場の同僚のために個包装の配りやすいみやげ菓子を買って帰ろう」。そんなふうに、誰かのことを思って選ぶ日本人の習慣。果たしてこれからも残っていく文化なのだろうか。

 

「お中元やお歳暮という文化もいつのまにか下火になっていますよね。交通も物流も発達した今、おみやげ文化が残っていくかはわかりませんが、個人的には『おみやげを配る』という習慣は素晴らしいと思います」(鈴木さん)

 

誰かを思っておみやげを買うのも、旅の楽しみのひとつ。そんな日本人特有の精神を、今後も大切にしていこう!

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