神社仏閣へ出かけ「今年1年がよい年になりますように」と祈る初詣では、日本人にとって欠かせない新年の習慣。
「初詣では、日ごろお世話になっている神様、仏様に今年も無事に新年を迎えられたことを感謝するのが目的。神社でも寺院でも、ふだんからお参りに行く場所であることが重要でしょう。全国的には神社への初詣でが多いですが、関東では寺院へ行く人も多いといわれています」
こう話すのは、寺と神社の旅研究家の吉田さらささん。初詣でに出かけて伝統的な“お作法”や“うんちく”を味わうのも参拝の醍醐味だ。そんな初詣での“お作法”や “うんちく”を紹介。
■鐘をつくのはお参り前? それとも後? そもそも一般の参拝客がついてもいいの?
鐘を帰りにつくと死者を送る鐘という意味になるので、お参り前につくべきという説がある。
「確かにそれが一般的な考え方ですが、お寺によっても考え方が違うようです。そもそも鐘は必ずつかなければいけないものではありませんし、最近は近所からの苦情もあって、一般の参拝者には遠慮願う寺院も多いのが実情です」(吉田さん・以下同)
■柏手を打つときに右手を下にずらすのはなぜ?
柏手は、右手を少し下にずらして打ち、最後に戻して合掌するのが作法。一説には、ずらした指先を合わせるという動作で神様と人が一体となり、力を得るのだとも。
「片手を下にずらすと手のひらの間に空間ができ、柏手を打ったときにいい音が出ます。はっきりした音は神様に伝わりやすい。そういう意味でも効果があるのでは」
■おみくじは持ち帰る? それとも結んで帰る?
いい結果が出れば持ち帰り、悪い結果が出たら境内に結んで帰るという人も多いが、本来は持ち帰るのが◯。
「もし『凶』が出ても、それは“ハズレ”ではなく、生活のうえで気をつけるべき神様からの戒めと受け取り、財布などに入れて持ち歩くといいでしょう」
どうしても置いて帰りたい場合は、むやみに境内の木に結ばず、指定の場所に結ぶこと。
■境内で写真を撮るのはマナー違反になる?
神仏の宿る寺社で無節操にスマホで写真を撮ったら罰が当たる!? と考える人も少なくないはず。
「そもそも、ご神体、ご本尊の写真を撮るのはほとんどの場合NGです。さらに神社では、神様が鎮座する本殿も撮影しないほうがいいとされます。一方、寺院の仏像撮影についてはご住職の考え方次第でOKなこともまれにあります」
■お守りやお札を受けるのはお参りの前? それとも後?
神社でも寺院でも、まずは寺社の主である神仏へのお参りをし、授与品を受けるのはその後にすべき。ただ、昨今流行のご朱印については例外も。団体だと人数分のご朱印をいただくのに時間がかかるので、お参り前にお願いしておき、後でまとめて受け取るケースもある。