『ある日突然オタクの夫が死んだら』著者語る“伴侶の死のリアル”

長年連れ添い、よくも悪くも「当たり前」のような存在になっている夫という存在。そんな夫がある日突然、先立ってしまったら……。その後の長い人生を、あなたはどうやって生きていきますか?

 

「夫を亡くした直後は、死にたいくらい『やばかった』。そういう一瞬が、私にもありました」

 

昨年3月、40代という若さで、夫が、多忙が原因とされる心筋梗塞による急性心不全で突然死。その経験を漫画につづり、関連情報も含めた実用書として昨年末『ある日突然オタクの夫が亡くなったら?』(KADOKAWA)を刊行したこさささこさんは、「直後」の思い出をそう振り返った。

 

「夫は『コンテンツ文化史学会』という学会も立ち上げるほど、筋金入りのオタク(笑)。映画からアニメまであらゆるコンテンツに通じていたので、物知りかつよくしゃべる人でした。でも、ある朝、本当に突然、隣の部屋で亡くなってしまった。それは本当に大きなことで、いまでも子どもが寝た後やお風呂の中で、『もうあの話は聞けないんだなあ』と、寂しくなります。また、夫はよく食べてくれる人でもありましたが、亡くなった直後は、私の気持ちが不安定だったせいもあったのか、子どもが暴れてご飯を食べなくなってしまったんです。その瞬間『もう私のご飯を食べてくれる人はいないんだ』と落ち込んで、『あ、死にたいかも』と思ってしまいましたね」

 

当時、こささんの子どもは6歳と3歳。イラストレーターとして仕事をしていたとはいえ、結婚後は「主婦」として生活しており、夫が完全に大黒柱だった。そのぶん不安も強かったというが、「とにかく最初の3カ月さえ乗り切れば大丈夫です」と振り返る。

 

「漫画にも描きましたが、私は本当に手続き事が苦手なんです。でも、姉や夫の友人など、周囲の人にいっぱい助けてもらいました。役所の人も親切で、山積する手続きや申請について、いっぱい付箋をつけて説明してくれました。わからないことはそのままにせず、とにかく周囲に聞いたほうがいいと思います」

 

とはいえ、お金のことではやはり頭を抱えたことも。

 

「こんなことになるとは夢にも思っておらず、保険にすら入っていなかったんです。貯金も思っていた以上に少なくてびっくり。他方、夫の葬式は想像以上の出費でした。『楽しいお葬式』にできたので、そこに後悔はありませんが、出費が多かったのは事実です。そんなわが家にとって、助けになったのは遺族厚生年金の存在でした。派手に生活しなければなんとかなることがわかったので、本当にありがたかったですね」

 

そうしたあれこれが一気にのしかかってくるのが、「最初の3カ月なんです」とこささん。一連の経験を漫画にしたツイッターが、今回の本の原点だ。

 

夫を亡くして2カ月後に投稿を始めたというから、心の傷が癒える間もない早さだが、投稿を始めたきっかけは、「子どもたちを守るため」だったそう。

 

「われながら『生々しい』渦中に描き始めたなと思いますが、ちょうど子どもが転園したタイミングだったんです。父親がいない理由を、子どもが誰かに直接聞かれたりして傷つく可能性があると思ったときに、子どもではなく私に質問してほしいと思ったんです」

 

そしていま、本を出版したこささんは、夫が亡くなったときに直面したリアルな現実を「あらゆる人」に伝えたいという。

 

「だって、夫の死はけっして特別なことではなくて、誰にでも起こりうることですから」

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