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切実だけど、なかなか人に相談しにくい“性”の問題。ともすれば後ろめたささえ感じてしまうこのテーマ。本誌は真正面から向き合うことにしました。今回、この問題に取り組んでくれたのは、江原啓之さん。

 

「性の悩みを、秘めたることにしてはいけない。堂々と、ポジティブに論じ合うべきなのです」と語り始めた江原さんの言葉に、ぜひ耳を傾けてください。そこにはきっと、“心にふたをしていたあなた”に届く珠玉のメッセージがあるはずです。

 

「日本では、まだ性について語ることに少なからず罪悪感を抱いてしまう人が多いですよね。ですが、性の問題は愛の問題ですから、秘めたることにするのではなく、堂々と向き合い、論じられなければならないことなのです」

 

今回、“性”をテーマとした特集を組むきっかけとなったのは、近年、編集部に性に関する悩みが多く寄せられるようになったから。

 

「この年になって性欲が高まって困っています」「結婚して数十年ですが、オルガズムが何なのかわからない」。そんな切実な悩みが目立つのだが、文面にはどこか気まずさが漂い、悩むこと自体にネガティブな感情を抱いている人が多いようなのだ。

 

そこで、これまで多くの女性の悩みに向き合ってきた江原さんに、性の悩みの根底にある問題、その本質について解き明かしてもらうことにした。江原さんは「日本ほど性に関することを秘め事にしてきた国はなく、年齢を重ねた女性も、もっとこのテーマと向き合い、語り合うべきだ」と力説する。

 

「私が個人カウンセリングをしていたのは、昭和から平成にかけての時期。当時から性やセックスに関する悩みは、女性にとって最大のテーマでした。その際、常に説いていたのは、スピリチュアルな視点では、セックスとはオーラの融合であり、いわば『オーラマーキング』であるということです。そして夫婦間においてオーラを融合させる方法は、セックスがすべてではありません。長年連れ添った仲のよい夫婦であれば、体を寄せ合うだけでも十分。つまり、『融合するオーラ』というのは、愛し愛されていることの証明であり、気恥ずかしさを感じる必要はないのです」

 

そして、そもそもセックスとは、“生の根源”。たとえば「令和」の典拠となった『万葉集』と並び、日本の古典の代表的な作品である『古事記』には、イザナミノミコトとイザナギノミコトの営みによる“国産み”の場面が描かれる。

 

「神話においても重要なモチーフとなっているセックス。令和の御代を迎えたいまこそ、性についての認識を根底から問い直すべきときなのです」

 

そして近年、江原さんが憂いている「安楽死」の問題を引き合いに出し、こう説き続ける。

 

「私は、積極的な延命治療を避ける『尊厳死』は否定しませんが、自ら命を閉じる選択をする『安楽死』には断固反対です。安楽死を望むのは、“生きる欲”をなくしてしまうということ。そう考えると、人間の抱える現世三大欲である食欲・物欲・性欲を感じることは、『生きたい』と願う証し。性衝動が高まったり、性に思いまどう人は、“生きる欲”が旺盛な頼もしい存在なのです」

 

さらに、「高齢になると性欲は減退するはずで、高まるのは恥ずかしいこと」という考えは、間違った思い込みであるとも語る。

 

「『あなたはいつから大人になりましたか?』と聞かれたとき、世間的には大人といわれる年齢になっていても『いまだに子どもだな』と感じる人も多いはず。肉体面で老いを感じても、心は子どものころのままではありませんか? ですからセックスについても『もう若くはないから』という限界を感じる必要はありません。むしろ、童心に帰ってパートナーと大いに楽しみましょう。それが生きるエネルギーにもつながります」

 

また、江原さんがもうひとつ懸念するのは、柳澤伯夫元大臣の「女性は産む機械」発言や、杉田水脈議員の「LGBTは生産性がない」といった発言がまかり通る日本社会の現状についてだ。

 

「生産性のないことには価値がない、子どもを作るためでなければセックスをしても意味がない、といった論調が噴出するこの国に危うさを感じます。いうまでもなく、セックスとは子どもを授かるためだけにするものではなく、愛し愛されるための営みです。本当のセックスは心でするものであり、いわば『愛と向き合うための性』の行為でもあるのです」

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