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太陽光パネルを無料で設置できる「第三者所有モデル」が注目されている。第三者所有モデルとは、事業者が個人宅に無料で太陽光パネルを設置。個人は10年間、その電力を購入し、10年たったら無償でパネルを譲り受けるという仕組みだ。一見、お得に感じる第三者所有モデルを、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。

 

■設置から10年間は保守点検や修理などの費用も不要

 

まず、第三者所有モデルの最大のメリットは、家庭用サイズでも100万~200万円はかかる設置費用が要らないことです。太陽光発電を始めたくても、設置費用がネックだった方には魅力的でしょう。

 

そのうえ、10年後には無償で自分のものになります。パネルの出力保証は20~25年ですから、保証期間がまだ半分残った状態です。

 

次のメリットは、設置から10年間は保守点検や修理などの費用も不要なことです。というのも、第三者所有モデルは10年間のレンタル契約といえます。レンタル期間中、太陽光パネルの所有者は事業者ですから、管理費用も事業者負担。個人にはかかりません。

 

半面、個人の所有となる11年目以降は、消耗も進み、修理も増える時期。そのころから管理費用がかかることも覚えておきましょう。

 

問題は、10年間の電気料金です。第三者所有モデルは、10年間に発電される電力も事業者のものですから、個人はわが家で発電された電気と、不足分は電力会社の電力を買うことになります。電気料金は京セラ関電エナジーの試算によると、通常より年約1万円安くなります。とはいえ月数百円では、大きくお得とは言えないでしょう。

 

いっぽう、太陽光パネルを自腹で設置した場合は、発電した電気はタダですし、余った電気を売ることもできます。雨天や夜間などは電力会社から電気を買いますが、電気代は大幅に下がります。

 

さらに、太陽光パネルの設置費用は高額ですが、売電収入と電気代節約の合計が7~10年積み重なると、元が取れるといわれます。

 

仮に7年で元が取れたとすると、8年目からはもうけが出ることになります。第三者所有モデルは10年間レンタルで、もうけが出るのは11年目から。とすると自腹で設置したほうが得というケースも。

 

また、自治体などの補助金が利用できれば初期費用が抑えられ、元が取れるまでの期間が短縮できます。反対に、自宅の日当たりや気象条件などにより、元が取れるまで長くかかるケースもあります。さまざまな条件で損得は変わってきますから、相見積もりを取るなど、よく比較検討してください。

 

自宅で太陽光発電を行うことは環境にやさしいだけでなく、パネルや発電システムが壊れない限り、停電になっても自家発電が利用できる安心感につながります。千葉県の停電はたいへんお気の毒ですが、今後は、停電に対する備えも必要なのではないでしょうか。

経済ジャーナリスト

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