「ムダ使いには気をつけているのにお金が全然貯まらない」「つい衝動買いをして、給料日の前はいつもカツカツ」など、お金にまつわる悩みは尽きない。しかし、お金を貯めたいからといって、いきなり詳細な家計簿をつけて、節約を始めようとするのはハードルが高すぎて逆効果だという。
「近い将来のライフプランを立ててから貯金額を設定するほうが、貯めやすくなります。たとえば、子育てが一段落した2年後の自分をイメージしてみて、『夫婦で海外旅行に行きたい』などと、実現したいことやなりたい自分をノートに書き出してみましょう。次に、旅行に行くのであればいくら必要なのか計算して、仮に100万円必要だとすると、1年間で50万円、毎月約4万円というように具体的に貯める目標額が定まってきます。将来の“ミニライフプラン”を立ててから逆算すると、具体的な貯金額の目安がわかるので、行動しやすくなります」
そうアドバイスするのは、ファイナンシャルプランナーの森朱美さん。2年ぐらいの期間が、貯蓄行動につながりやすく続けやすい期間だそう。
「それから、意外と盲点になっているのが毎月の給与明細です。社会保険料や所得税、住民税がどれだけかかっているのかチェックしておきましょう。社会保険料や税金は毎年変動します。手取り収入から、いくら支出していくら貯蓄ができているのか、家計全体でお金の流れを把握することが大事です。また、社会保障制度を知っておくと、必要のない民間保険に入らないといった選択肢も出てきます」(森さん・以下同)
次に、銀行口座から引き落とされる項目やクレジットカードの明細から、カットできそうな項目を見つけよう。光熱費、通信費、飽きてしまった趣味や習い事、活用できていないサービスなどは見直しの対象になる。
「スマホや光熱費を安いプランに乗り換えるのは、そのときは手間がかかりますが、一度見直すと、効果が続くので節約ストレスはあまりかかりません。お子さんの独立後、生活費など支出を見直すのも一案です。住み替えなどを検討しているのであれば、コンパクトな間取りで駅近の住まいにすることで、家賃や光熱費を抑えたり、マイカーに頼らない生活ができれば維持費の負担もなくなります」
また、極端な切り詰めとストレスにつながる変動費は、仕分けをしたレシートを見ながら満足度をチェック!
「洋服代やランチ代など、支出の項目を振り返り、満足度や必要だったかどうかを3ツ星で評価してみましょう。評価が低い買い物に気づくことで次回からの支出が抑えられます。同時に、冷蔵庫や収納庫、クローゼットにモノがぎっしり詰まっているという方は整理して、自分が持っているものを把握しましょう。賞味期限切れの食品は処分し、今あるものは使い切るようにします。クローゼットの中もシーズンごとに出し入れして、1年以上着る機会のなかった服から整理していくと部屋も気持ちもスッキリします」
自分が持っているものを把握しやすい環境にしておくと、買いすぎや衝動買いを防ぐことができる。
固定費と変動費でカットできる金額がわかったら、それらを月々の貯金にまわそう。そのとき、給与などの収入の一部をあらかじめ定期預金などに「先取り」で自動的に貯めるようにすると、着実にお金が増えていく。成功体験が積み重なると、自信につながり、お金に対するマインドがどんどんポジティブになっていく。“貯めマインド”は、お金を貯めることだけがゴールではない。
「お金に対する不安がなくなり、好きなときにお金が使える状態になることで、幸せと感じるようになります。その幸せは自分のためだけでなく、家族の幸せにもつながります」
自分に合った“貯めマインド”で、トータルで豊かな暮らしをかなえていけるように、できることから実践していこう。