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「19年ぶりに仕事を再開したとき、頭では、20代のころの仕事ができる自分のイメージでしたが、実際は“覚えられない”ことも多くて。でも主婦の経験で培った対応力、忍耐力が、今では仕事にとても役立っています」

 

都内に住む山内洋子さん(50)は、25歳で結婚し3人の子どもを出産。専業主婦をしていたが、いちばん下の子が中学校に入ったのを機に、再び働きだした。長年の“ブランク”をどう乗り越えて、今の仕事に出合ったのか。また再び働き始めるときに感じた不安を、本誌に語ってくれた。

 

結婚前は、広告制作会社で働いていた山内さん。27歳で長男を出産後、1年間の育休を取った後、職場復帰。その後2年間は正社員として頑張ったが、次男の妊娠とともに離職し専業主婦に。36歳で末っ子を出産した。

 

「インターネットやタウンワークで探しました。第1志望は事務職でした。インターネットでのWEBエントリーは、応募フォームに入力して、ポチッとすれば終了。でも、選考に落ちると返事すらなくて、ショックでした」(山内さん・以下同)

 

自宅から近く、勤務時間が9時から17時という条件で探した。面接には保護者会用の服で臨んだという。

 

「白いシャツにカーディガン、パンツ、ローヒールのパンプスで、清潔感を心がけました」

 

自己PRも、ことさら“頑張る”ことはしなかった。

 

「『バリバリ働きます!』というより、『あなたの色に染まります』という感じ(笑)。『求められていることをしっかりやります』と。それで受かったのが今の会社です」

 

自宅から歩いて10分。就業時間は9時から17時30分で、週に5日。仕事内容はサービスセンターでの事務で、PC入力と電話応対がおもな業務だ。

 

こうして再開した19年ぶりの仕事。いざ働き始めてみると、戸惑うことが多かった。

 

「まず、オフィスのどこに事務用品が置いてあるのか、ということからわからない。一度では覚えられない仕事も多いのに、メモを取り忘れて焦ったことも。『すいません。もう一回教えてください』と聞くのは、勇気がいりました。上司が自分より年下というのも、なかなか慣れなくて。専業主婦ってなんだかんだいっても、“一国一城のあるじ”ですよね。それがいちばん下のペーペーに“転落”する(笑)。家庭では何でも自己判断でOKだけど、職場では“報告・連絡・相談”をしないといけませんし」

 

一方、仕事を再開してみて感じた自信もあった。

 

「主婦として母として生きてきた時間に身につけた力は、仕事にも生かせるんだって。たとえば、顧客からのどんな電話にも、動揺せず対応できる力。私の場合、子どもが3人いるから、それぞれのママ友がいます。毎日のように、いろんな価値観のママ友たちと顔を合わせて交流してきたことで、培われた力なんだと思います」

 

子育てするうちに育まれた忍耐力もある。

 

「子どもって『何で、できないの』って叱るより、できるまで待ってあげたほうが、できるようになったりしますもんね」

 

家事全般をこなしながら磨かれたのは逆算する力。

 

「主婦って、その日にやらなきゃいけない家事を頭の中でシュミレーションしますよね。“○時までには終わらせたい”というところから、全部を効率よく片付けられるように逆算して考える。これって仕事も同じだったんです」

 

「女性自身」2020年3月17日号 掲載

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