精神科医が語る“不安”との付き合い方「最悪の事態想定する」

「100年に一度といわれる非日常にある今、不安になって当然なの。10人いればそれぞれ意見が違うように、不安の感じ方も、対処法だって、一人ひとり違うものです」

 

そう語るのは、精神科医のTomyさん。けっして否定しない、知恵のあるツイートが人気で、Twitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』は、この半年間でフォロワー数が16万人に急増。著書『1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)も4万部を突破した。

 

「日ごと、コロナウイルスの感染者が増えるこの時期、“大丈夫だと思わない”ことも大事なんです。日本の場合、『過剰に不安がるな』という人も多いですよね。でも、この状況下で自分に『大丈夫だ』と言い聞かせることは、逆にストレスにもなりえますから。だからといって、過剰に不安がることもないわよ。今こそ、自分の不安がどんなものか、しっかりと向き合ってみましょう」

 

というのも、不安には2つの種類があるからだ。ひとつは“本当に不安を感じている”状態。

 

「もうひとつに、“『不安だ』と言葉にすることで安心する”パターンがあります。大切なのは、自分の不安がそのどちらなのか、自分で知っていること。『どうしよう、どうしよう』と口に出すことで、対処した気分になって安心する人もいるんです。このタイプは、『不安なんて感じちゃいけない』と感情を抑え込むと、真の不安、恐怖が押し寄せてくる。だから、『不安だ』と言葉にするのをやめてはいけません」

 

では、本当に不安を感じているとき、私たちはどう対処すればいいのだろうか。

 

「最悪の事態と最良の事態、その両方を考えておくことです。たとえば私の場合、コロナの影響で仕事がなくなったとしたら、田舎に引き上げようと思っているの。これが私の最悪のパターン。最良のパターンは、このまま仕事を続けて、ジムが再開したあかつきには思いきりズンバを踊るわ。覚悟ができることで、考えても仕方のないことや、とるべき行動がクリアになってくるんです」

 

また、社会に不安が蔓延しているときは、まわりとの関わりにも配慮が必要だという。

 

「自分とスタンスの違う人の意見を聞きすぎないことね。不安に対するスタンス(感じ方やとる行動)は、ある意味、政治思想や宗教の違いにも近いわけです。アンタッチャブルな領域ともいえるし、議論しても仕方のないことよ。買いだめをする人にイライラすることもあるでしょうけど、そうすることでしか不安を解消できない人もいる。時間と体力があるなら並べばいいし、物資がなくなったときに『分けて』と言える相手がいるなら、そのときに考えたっていいわけです」

 

今回のコロナショックは、収束が見えないことこそが、私たちを不安で支配している。

 

「でも、人間は環境やストレスに慣れてゆく力を持っています。さらに極論をいえば、みんないつかは死ぬんです。それがいつかわからないだけのこと。誰も明日のことはわからない。だからこそ、見えない先のことを不安に思うより、今日一日のことだけを考えませんか。今できることの中から、今日一日の楽しみ方やリラックス方法を見つけられるといいわね」

 

「女性自身」2020年4月28日号 掲載

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