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「この先も“ウィズ・コロナ”で在宅時間が多くなりそうですが、家で子どもと向き合う生活は『何が好きで、何が得意か』を親が把握し、伸ばしてあげる好機なんです」

 

こう話すのは、ワーキングマザーの入江のぶこさん。夫の敏彦さんはフジテレビの報道記者として活躍していた’94年、取材に向かう小型機がケニア・ナイロビで墜落し、32歳の若さで遭難死した。

 

彼女は6歳の長男と生後11カ月の次男を連れて帰国。働く母として、仕事と育児の両立を図ってきた。そして、息子たちと“向き合う”子育てに徹した結果、彼らはともに東大に現役合格し、現在は長男が研究者、次男がテレビマンとして活躍している。

 

入江さんは現職の東京都議として「女性が働きやすい、育児しやすい環境づくり」に尽力するかたわら、4月には、自身の経験を著書『自ら学ぶ子どもに育てる 息子2人が東大に現役合格した、ワーキングマザーの子育て術』(あさ出版)にまとめて発表した。

 

「わが家の場合、息子が国旗や折り紙に興味を持っていたので、たくさんの本や図鑑を与えて環境を整えました。そのうえで親子のコミュニケーションを高め、自分を“表現できる”ように育ててきたのです」と話す入江さんが“時代に適応する子育て術”として、みずからの経験をもとにそのルールを教えてくれた。

 

【1】日記をつけさせる

 

「まず、子どもに日記をつけさせるようにしました。日記は、1日の出来事を思い返し、それを表現する訓練になります。自分で考えることが第一に大事ですが、それが相手に伝わらなければ意味がありません。『考える→表現する』はワンセット。また、うまく書けたときには花丸をつけてあげることで、成功体験=自己肯定力につながります」(入江さん・以下同)

 

【2】元日に抱負を発表させる

 

「そして、表現するうえで次に必要なのが、人前に立って話すこと。わが家では、元日に抱負を発表させることを恒例にしました。早いうちから緊張に慣れさせるのと同時に、言葉で伝える難しさ、大切さもわかるようになります」

 

入江家では元日の決意表明のほかにも、誕生日、クリスマスなどのイベントを、必ず親子3人で一緒に過ごすと決めて実践してきた。

 

「最初は、父親がいない寂しさを味わわせたくない一心でしたが、重要なのは、親が子に時間を割くことです。子どもに何かをさせるなら、親も付き合わなくてはダメ。子どもというのは“親が自分に集中してくれているか”にとても敏感なんです。私も夫の死後、『1日に10分でも』と意識して時間をつくってきました」

 

【3】家族行事・イベントは欠かさない

 

「親が子に時間を割くことの延長にあるのが、家族行事・イベントは欠かさないこと。お互いに忙しい今も、イベントのたびに3人で集まるようにしているんですよ」

 

それらすべての根底にあるのは、「生きていてくれるだけでありがとう」という思いだったと入江さんは言う。

 

「“無償の愛をどう伝えるか”が私の子育てには最重要だったのです。これからの時代、ますます“スタンダード”がなくなるでしょう。時流にマッチするためには、勉強に限らず、料理でもeスポーツでも、得意分野に集中して評価を得ることが励みになります。そして、みずから考え、伝えられることが、新時代を生き抜くための強みになっていくはずです」

 

「女性自身」2020年7月14日号 掲載

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