パンダの命名塾などで知られ、パンダファンからも一目置かれるTBSアナウンサーの安住紳一郎さん(47)。長年リスペクトしているすごいパンダ「永明」(えいめい)について、詳しく聞いてみた。
最初にパンダを見たのは、13年くらい前、和歌山のアドベンチャーワールドに取材に行ったときでした。7頭もパンダがいたことと、まわりの人たちがすごく興奮して見ていたことに驚きました。仕事柄、スターの方とご一緒する機会は多いのですが、それとは比べものにならないくらいすさまじい興奮ぶりで、ものすごいスーパースターなんだなと思いました。
パンダを前にすると、人は「かわいい」って25回くらい言うそうなんです。誰か統計も取っていました。そのくらい愛らしい動物なんです。また、同じ哺乳類として人間らしいところもあるのが魅力。落ち込んでいることもあれば、誇らしげに笹を食べていたり。そこも愛おしいなと。
僕が注目しているアドベンチャーワールドの家族は、ちょっと昼ドラっぽいところがあって、面白いんです。ビッグダディといわれる永明は最初の奥さんの梅梅ととても相性がよくてたくさん子どもをつくったんです。
そして梅梅が亡くなったあとは、梅梅と前の旦那さんとの間に生まれた良浜とも抜群の相性で、次々と子どもをもうけています。美人の奥さんの次に、その奥さんそっくりの若い娘と……。人間界に置き換えるとうらやましい限りです(笑)。
尊敬の意を表するために永明のことを訓読みして「ながあき」と呼ばせていただいているんですが、永明は名古屋のニシローランドゴリラのシャバーニみたいに、かっこいいんです。あの白い部分が黄ばんできた感じが哀愁っていうか雰囲気が独特で、色気みたいなものがありますね。優雅だし、少しふてぶてしい感じであおむけに座っていたりして、ちょっとやり手の料亭のおじさん、って感じで(笑)。美人の雌たちにモテモテなのもよくわかります。
普通、動物って雄と雌のカップリングは難しくないんですが、パンダは交配相手も人間並みに選ぶんで大変なんです。数が少ない中で自分と相性のいい異性とどうにかしようとする、そんなところも人間っぽくて面白い。その確率たるや、同じクラスの女子20名の中から、「誰かと結婚しなさい」って言われてる感じで難易度高いですよね(笑)。
パンダの繁殖ってすごく難しくて、相性のいい相手が見つかったとしても、雌の発情期は年に2、3日だけ。その発情期を察知して、雄は交尾に持ち込まなくてはいけない。人間に例えると、奥さんの1年でいちばん機嫌のいい1日を見定めて近づくしかない。間違えてしまったらまた1年没交渉です。それを自分に置き換えて考えたら胃が痛くなります(苦笑)。奥さんの顔色をずっとうかがって「今日なのかな」「明日なのかな」って。それを毎回クリアしている永明はやっぱりすごい。飼育員さんより早く良浜の発情に気がつくそうですし。永明を見習って人間の雄たちも頑張らないといけませんね。
先月、16頭目の子どもも無事に生まれて、まさに日本が誇るビッグダディ。赤ちゃんの名前も気になるところです。「命名塾」たるものも以前はやっていまして、恐縮ながら何頭かの名前を当ててきました。名付け親になると、パンダに対する愛情が20倍くらいになるんですよ。昔ながらの名付けの風習と同じですね。新しいアイドルにふさわしい名前をみなさんも考えてみると楽しいですよ。パンダらしくない斬新な名前もそろそろ出るんじゃないかな、なんて思っています。
女性自身の約50年分のパンダの歴史が詰まった「パンダ自身」。発売後即重版となり、現在売り切れ店続出。見つけたら迷わず入手すべし! アドベンチャーワールドはもちろん、シャンシャンやタンタン、過去に日本で人気だった懐かしのパンダたちも大特集!