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「皆さんが考えている以上に、老後生活は長いのです。’25年に65歳を迎える女性の64%、’35年に65歳を迎える女性の67%が、90歳まで生存すると予想されています。100歳まで生存する割合も、それぞれ17%、19%です。老後資金はそれまで持ちますか?」

 

このような長生きリスクに警鐘を鳴らすのは、『人生にお金はいくら必要か』(東洋経済新報社)などの共著があるファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんだ。

 

「“老後2,000万円問題”が話題となりましたが、ご家族ごとの収入・生活レベルはそれぞれなので、一概にはいえません。かといって専門家などにライフプランの作成を依頼すると、手間も費用もかかる。しかも、せっかく作ったプランも、夫の給料の減少や子の就職の失敗などによって、変化がつきものなのです」

 

そこで岩城さんが経済評論家の山崎元さんと共同作成したのが、状況の変化に合わせていつでも自分で計算できる、老後資金にまつわる穴埋め式計算法だ。

 

「資産額や、今後の予想手取り年収などから、安心な老後を迎えるには、65歳までに年収の何%を貯めればいいか導き出す計算式です」

 

岩城さん運営のホームページ「オフィスベネフィット」にて、6つの数字を入力すれば、自動的に「必要貯蓄率」を計算してくれる。

 

それでは、空欄に入れるべき数字の解説をしてもらおう。

 

 

■老後生活費率

 

現役時代の生活費に対する、老後の生活費の割合。

 

「一般的に老後生活に入ると、食費や交際費なども減り、生活費が安くなります。家計調査などでは、生活費は現役時代から3割減。具体的にイメージがつかない人は0.7と書き込みましょう」

 

■平均手取り年収

 

ポイントは“これまで”ではなく“これから”の平均手取り年収。

 

「手取り額は健康保険料や所得税、住民税などがあるため、額面の75%ほどです。55歳から役員定年で2割減、60歳からの再雇用でさらに3割減ほどになることも考えて計算します。妻が正社員などで、今後も安定的に働く場合は、夫婦で合算した額を書き込みます。フリーランスやパートの方の収入は、不安定な要素もあるので、現在の年収よりも1〜2割少なく見積もっておくといいです」

 

■年金額

 

終身でもらえる年金の額。

 

「50歳以上の人は『ねんきん定期便』の数字を参照。また50歳未満でも『ねんきんネット』に登録すれば、年金予想額がわかります。公的年金以外にも、終身で受け取れる企業年金、民間の終身年金などもあれば、合算してください」

 

■資産額

 

おもに現在の預貯金、株、債権、投資信託(時価)などの合算。

 

「iDeCoや個人年金保険など有期で受け取れる年金もこちらに計上。たとえば“年間120万円を10年間受け取れる”保険商品の場合は、1,200万円を加算。退職一時金や、売却予定の不動産の評価額、親の遺産も計上します」

 

反対に、将来予想される大きな支出はマイナスにする。

 

「住宅ローンの残債を退職金で一括返済する場合や、家のリフォーム費、車の買い換えの費用などです」

 

■老後年数

 

いまの時代は95歳まで生きることを前提にするべき。

 

「65歳でリタイアすれば、老後年数は30年。年の差夫婦で妻が若い場合は、老後年数を35年と少し増やしてみましょう」

 

■残りの現役年数

 

リタイアするまでの年数。

 

「50歳の人の場合、会社員なら65歳までが一般的なので15年、自営業で70歳までは現役を続けられそうなら20年と記入します」

 

現在の家計状況と、現実的な未来を見据え、老後設計をしよう。

 

「女性自身」2021年6月1日号 掲載

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