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「老後資金2,000万円問題」のニュースを涼しい顔で見ていたあなた。落とし穴にハマれば、一気に困窮することも。危険がわかれば、回避法も見えてくるーー。

 

「老後資金『2,000万円足りない』問題が金融庁の報告書で指摘されたのが2年前(’19年6月)のこと。多くの人が不安に陥れられましたが、やりくり上手の人のなかには『どうにかなりそう』と安心していた人もいるのでは? しかし、油断をすると、瞬く間に貯蓄は底をつくんです」

 

こう警告するのは、マネー管理術に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。老後には“落とし穴”がたくさん。実例を見ていくとともに、専門家に対処法を聞いていこう。

 

【落とし穴1・投資詐欺】“高額配当”に騙されて

 

「『500万円で健康器具を買って、レンタルに出すと年6%の利益が出る。いざとなれば器具を売ればいいからリスクもない』。そんな甘言につられて老後資金を投入。でも、実際は、器具は存在しておらず、数回のレンタル料が払われたあと、その会社は潰れてしまった。これは実際にあった例です」

 

そう解説するのは全国紙記者。

 

’17年12月に倒産したジャパンライフ。被害総額はおよそ2,000億円、被害者の多くは高齢者だったという。’20年9月、同社の元会長らは詐欺容疑で逮捕、起訴された。

 

「同様の事件は多いんです。ケフィア事業振興会という会社が、年利10%超の高額な配当をうたって、食品事業などの“オーナー”を募集。結局、’18年に1,300億円超の負債を抱えて倒産してしまいました」(前出・新聞記者)

 

自分は甘い話に引っかからないと思っている人も、退職金が入った後には、「気持ちが大きくなる傾向がある」と加谷さん。

 

「投資の初心者であればあるほど、退職金で得たお金を『すべて資産運用に回そう』と考えてしまう。知識がないから、騙されるんです」

 

〈対処法〉甘い話には裏がある。特に退職直後には注意。

 

【落とし穴2・投資で失敗】銀行を信じたばかりに

 

時に、銀行に“騙される”ことも。

 

「夫が定年退職した2年前、2,000万円の退職金が出ました。すると銀行員から『金利7%の高利回りの新興国債券』をすすめられ、飛びついてしまって……。しかし、債券は急落。1,000万円投資して、200万円の損失に」(50代主婦)

 

“銀行がすすめるものだから”と安心してしまう人も多いという。

 

「銀行に言われるままに買ったことがいちばんの失敗です。顧客が損をしても売れば手数料が銀行に入る。すすめてくる商品のなかにはリスキーなものも。外貨建てというのは難易度が高く、プロでも尻込みするものなんです」(加谷さん)

 

一方、「投資ばかりが運用ではない」と説くのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。

 

「私は、貯蓄に回すことをおすすめします。家族や夫婦の今後を考えれば、退職金は堅実に預金しておくべき。減ったり、騙されませんし、『預金も立派な運用』です」

 

〈対処法〉銀行の言いなりにならない。理解できないものに手を出さない。

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