法改正で相続税の対象者が拡大…子供に負担をかけない「生前贈与」のススメ
画像を見る

 

■税制改正の本当の目的は? 損しないためにできること

 

ところが、冒頭で述べた相続税と贈与税の一体化の方向に税制改正が進めば、相続税の節税ができなくなる可能性がある。

 

「税制改正のシナリオはいくつか考えられる」という橘先生に3案挙げてもらった。

 

【1】“持ち戻し”期間を5年、7年、10年などと長期化

“持ち戻し”とは暦年課税で、贈与者の死からさかのぼって3年以内に贈与された財産を、相続財産に含めて計算し直すこと。税制改正で持ち戻し期間が長くなれば、高齢になって始める暦年贈与では、相続税を節税するのが難しくなる。

 

【2】“持ち戻し”の対象を相続人以外の孫などにも広げる

持ち戻し対象が広がると、死ぬ間際の「孫」への贈与も持ち戻しとなり、節税の効果がなくなる。

 

【3】非課税制度の期限終了で延長なし

非課税贈与がなくなれば、相続財産を一度に大きく減らす方法がなくなる。

 

税制改正はいつ始まるのか?

 

「来年すぐにはないでしょう。今年末の税制改正大綱に詳しく改正内容を示し、法整備を行って、早ければ2年後から施行でしょうか」

 

それまでにやるべきことは?

 

「Aさんのケースでは、まず財産を洗い出すこと。そして、生前贈与などを利用して、早いうちに相続財産を減らしておくことです」

 

生前贈与以外に方法は?

 

「子や孫の教育費や生活費の支援も、扶養義務者間は非課税ですから利用できます。ただし必要なときに必要な額を渡すのが条件です」

 

将来、相続税制はどうなる?

 

「暦年課税を廃止して相続時精算課税に一本化し、相続税の節税ができない税制にする。相続税の基礎控除をさらに引き下げて、相続税の対象を広げる。そんな未来を、国は描いているのかもしれません」

 

相続税は人ごとではない。節税ができなくなる前に、生前贈与で相続財産をスリムにしよう。

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: