最近、買い物などでもらえる「ポイント」を利用する「ポイント投資」が注目されている。そんなポイント投資について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■一見お得なポイント利息。使い勝手は?
ポイント投資は2種類あります。
ひとつは、ポイントを現金化し、本物の投資信託などを購入する「ポイント投資」。証券口座の開設が必要ですが、現金を使わずに投資商品が購入でき、それらを売却すれば現金が手に入ります。
もうひとつは、投資信託などの値動きに合わせてポイントが増減する「ポイント運用」。いくら増えてもポイントのまま現金化はできませんが、口座開設などが不要で気軽に始められます。
こうしたポイントによる投資は、楽天ポイントやTポイント、dポイント、LINEポイント、Pontaポイントなどで行えます。
ポイント投資のメリットは、原資がポイントですから、たとえ減ってもふところが痛まないことです。投資に興味はあってもお金が減るのはイヤという方も、ノーリスクで練習できるでしょう。
さらに、10月から楽天が「楽天ポイント利息」を始めました。銀行預金のように、手持ちのポイントを100ポイント以上1ポイント単位で預けられ、預入れ期間に応じて利息が付くというものです。
利息は年0.108%(月0.009%)と、大手銀行の普通預金金利0.001%と比べると100倍以上。ポイントによる投資と違い、決して減ることがないのは安心です。
ただポイント還元率が1%だとしても、1万ポイント貯めるためには100万円分買い物しないといけません。ためた1万ポイントを預けても、1カ月間の利息はわずか0.9ポイント。
加えて、毎月付与されるポイント利息は1ポイント単位で、端数は翌月に繰り越されるのがルールです。つまり、1万ポイント預けても1カ月目の利息付与はゼロ。2カ月目で1.8ポイントになると、1ポイントが付与され0.8ポイントが繰り越しといった具合です。元になるポイントが大きくないと利率が多少よくても、どんどん増えるというものではないでしょう。
ポイントはいまや、お金にとても近い存在です。失効させるのはお金を捨てるようなもの。ポイント利息に預ければ失効の心配はありませんが、それよりも忘れないうちに使うほうがよいのでは。ほかにも失効間近なポイントがないか確認して、今年のポイントは今年のうちに使ってしまいましょう。
また、ポイントをためるための買い物にも注意してください。「ポイント〇倍セール」などにあおられ、必要のない買い物をするのは本末転倒です。どうためるかより、たまったポイントをどう無駄なく使うかが大切です。
ポイントといえば、政府はマイナンバーカードとキャッシュレス決済や健康保険証、銀行口座とひもづけた方に、マイナポイントの最大2万ポイント付与を閣議決定しました(11月19日)。血税を使っての施策ですから、本当にコロナ禍での経済対策となるのか、議論の行方を見守りたいと思います。