買い物から帰り、室内に入ったとたんコートやニットが臭う……。そんな経験はないだろうか?
「暖かいところでニオイが気になるというのは、ニオイ分子の特徴。ニオイ分子は高温多湿の場所で空気中に揮発(蒸発)しやすくなる性質があります。冷たく乾燥した屋外ではニオイが気にならなくても、暖かい室内に入ったとたん臭うのはこのためです」
そう話すのは、“におい刑事”こと臭気判定士の松林宏治さん。
夏だけでなく冬にも多発するニオイ問題。厚着で出かけて汗をかいてしまう、ブーツが蒸れる、鍋の後に部屋や洋服にニオイが染みつく、などニオイの種は尽きない。
夏であれば洗えば済む衣類のニオイだが、冬場はコートやニットなど、洗濯しにくいものが多い。そこで今回、衣類に染みこんだニオイの対処法をニオイの専門家である松林さんに伺った。
■衣類に染みこんだニオイの対処法3選+α
【(1)コートやマフラーの付着臭は浴室につるして揮発させる】
入浴後の蒸気が残っている浴室に、コートやニットなどをつるす。換気扇はかけず10~20分を目安に放置したら、風通しのよい場所で乾燥させる。事前にアルコールスプレーを吹きかけておくと除菌やシワ伸ばしにも。
【(2)ニットの襟や脇のキツいニオイはスチームアイロンで吹き飛ばす】
とくにニオイが気になる襟、袖口や脇などは、スチームアイロンでニオイをとばす。スチームアイロンがない場合は、霧吹きで水を吹きかけてからドライヤーの熱をあてる。焦げないように注意。
【(3)水分に弱い衣類についたニオイはブラッシングで払い落とす】
水分に弱い革製品やデリケートなカシミヤ類などは、風通しのよい場所につるし、表面に付着しているニオイ成分を払う感覚でポンポンと払ったりブラッシングするだけでもニオイが軽減される。風がない場合などは、サーキュレーターを回すとより効果的。
【(4)+α 革手袋は風通しのよいところに陰干し】
洗うことができない革手袋は、風通しのよい場所に陰干しを。活性炭を入れたビニール袋に入れて口を結び、エアコンの吹き出し口のそばにつるす。活性炭がニオイ成分を吸着してくれる。
「コートやニットのニオイの原因は、食べ物やホコリなど、なにかのニオイが衣類に付着した“付着臭”であることが多いです。付着臭は高温多湿で揮発するニオイ分子の特徴を生かして落としましょう。具体的には、入浴後の蒸気が残っている状態の浴室に、10~20分衣類をつるします。浴室から出した後はしっかりと乾かしてください」(松林さん)
一回でニオイがとれない場合は、浴室干しを何度か繰り返すとよい。
「高温になるほどニオイ分子は揮発しやすくなります。脇や袖口など、特にニオイが気になる箇所はスチームアイロンなどで部分的に浴室より高温多湿の状態をつくるとよいでしょう」(松林さん)
■鍋・焼肉後の部屋のニオイはどうする?
【フライパンで緑茶を煎る!】
鍋物や焼き肉などをした後にこもってしまう部屋のニオイ。緑茶の葉を煙が出るくらいまでフライパンで煎り、その煙を、部屋にふわっと広げるようにするとカテキンの消臭効果でニオイがとれる。
専門家がすすめる冬のニオイへの対処法を、ぜひ参考にしてほしい。
【PROFILE】
松林宏治さん
臭気判定士。通称におい刑事。総合病院から一般家庭まで、あらゆるニオイ問題を手掛ける株式会社共生エアテクノ代表