「いざというとき」のための毎月の負担が、本当にその保障に見合っているのか。内容が多岐にわたり、比較も難しい保険選びについて、加入者目線の基準でわかりやすく評価。保険に詳しいファイナンシャル・プランナーが選んだ“本当に安心できる”5つの保険会社を紹介--!
「本当に顧客のことを考えて保険業を営んでいるのか、顧客思いの商品を開発しているのか、そうした会社の姿勢を疑わせるニュースが最近もありました」
そう話すのは『NEWよい保険・悪い保険2022年版』の監修などで活躍する“保険のプロ”横川由理さん。横川さんが指摘するのが近年、金融庁からも是正を求められた外貨建て保険だ。
「銀行の窓口でいかにもお得な商品のように、金融知識のない人に、わざときちんと商品説明をせず販売。なかには定期預金の更新だと思い込み、知らない間に加入させられていた人までいます。しかも解約手数料が高いため、消費生活センターなどに苦情が殺到しました。これは販売窓口となる銀行と生保会社が手を組んだ悪質なもので、こうした商品を販売したところは、まさに顧客に優しくない会社の典型だと思います」
では、横川さんにとって、顧客思いの保険会社とは、どんなものなのか?
「私の最優先の基準はとにかく保険料が安いことです。もともと貯蓄で対応できないリスクに備えるのが保険の役割。通常は死亡保障を得るのが目的です。そのため、私は高額療養費制度(医療機関や薬局の窓口で支払った額が、1カ月で上限額を超えた場合に、その超えた分の金額を支給する制度)があることなどをふまえ、医療保険は必要ないと考える立場ですが、それでも安心のために入っておきたいという人が多いのも事実。そこで生命保険と医療保険を販売する会社を対象にランキング化したのが次になります」
■顧客ファーストで考えた保障&サービスに注目
それでは横川さんの解説で、顧客に優しい保険会社をランキング順に紹介していこう。
【第1位】「チューリッヒ生命」
オリジナリティのある商品を開発しているのが最大の魅力。医療の変化や社会の変化に応じた商品を他社に先駆けて販売したり、既存の商品をバージョンアップするなど、チャレンジ精神を感じる。クーリング・オフの期間は、通常、8日となっているが、チューリッヒ生命は31日と長いことも評価。
「大手生保の商品に比べ、保険料が安いのはもちろんですが、業界に先駆けてストレス性疾患での就業不能に対しての保障に注力するなど、経営方針にブレがないことを評価しました。また医療保険やがん保険も最新の医療に対応して、既存商品をつねにバージョンアップする即応性にも優れています。さらに契約時のクーリング・オフ可能期間が通常は8日間なのに対して、31日と長く認められているのも、インターネット契約を主としている会社としてたいへん良心的だと思います」(横川さん・以下同)
【第2位】「都道府県民共済」
総合保障型・入院保障型の月掛金は2,000円。事業経費を最小限に抑え、共済金の支払い後に残ったお金を割戻金として返してくれるのが特徴。都民共済の割戻率は39.77%(’20年度)で、実質の月掛金は1,205円に。入院の保障期間は病気で124日間と長いが、60歳以降保障額が下がることと掛金が安いため、高額な死亡保障を得ることができないのはマイナス点。
「死亡保障や医療保障を提供しているのは、保険会社だけではありません。共済の仕組みは、組合員がお金を出し合って、お互いに助け合うというものですが、広範囲に共済も保険会社の範疇と考えて、ランキングに入れました。ひと口に共済と言っても、運営している団体は数多くありますが、その代表的存在が都道府県ごとに運営しているこの都道府県民共済。東京都なら都民共済、大阪府なら府民共済と加入する先は異なりますが、保障される内容は、埼玉県民共済などを除いて、全国一律。その特徴は安い掛金(2,000円)で病気死亡400万円、不慮の事故死は800万円、入院の場合も日額4,500~5,000円が受け取れます。そのうえ、’20年度実績で、年間9,545円が割戻金として口座に振り込まれ、実質の掛金はわずか月々1,205円。これは事業経費を最小限に抑えていることの賜物です」