■介護で離職するか悩んでいるケース
離職は年金が激減するので極力避けて働き続ける。
【現状】
平均賃金:月額25万円
〈65歳からの年金受給額〉
月額:約11万円(年額約129万円)
【対策】
・介護離職をしないで70歳まで働く
・介護保険、介護サービスを活用する
・再雇用で70歳まで働く(月額20万円)
・年金の受給を70歳まで遅らせる
〈70歳からの年金受給額〉
月額:約18万円(年額約216万円)
※約7万円UP!!
「母親と二人暮らしの正社員のシングル女性(53歳)。最近母親に介護が必要になって、介護離職したいと相談を受けました。いまや介護は日本全体の問題。たしかに仕事と介護の両立はたいへんですが、1人で抱え込むと後で後悔することに。介護する人の老後を試算すると、仕事は無理をしてでも続けるべきです」
長尾さんの試算では53歳で退職すると、厚生年金加入期間が短くなるため、65歳からの受給は月額約11万円と激減。
「平均的な介護日数は約5.1年。介護離職ではなく、介護保険をうまく活用して介護サービスを使うことで、行政や専門スタッフの力を借りてなんとか乗り切ってほしいものです」
■夫に先立たれたら……と不安なケース
夫の遺族厚生年金と基礎年金は受給し、自分の年金受給だけ75歳から。
【現状】
妻:専業主婦
夫の平均賃金:月額40万円
夫の60〜65歳の再雇用賃金:月額25万円
企業年金あり(月額5万円)
〈65歳からの年金受給額〉
妻:月額約6.5万円(年額約78万円)
夫:月額約20.5万円(年額約246万円
夫婦の合計月額:約27万円
〈夫の死後の年金受給額〉
遺族厚生年金:月額約7万円
妻の基礎年金:月額約6.5万円
月額:約13万円
【対策】
・75歳までは夫の遺族厚生年金月額約7万円と夫の保険金で生活
・基礎年金部分だけ受給を75歳まで遅らせる
〈夫の死後の年金受給額〉
遺族厚生年金:月額約7万円
妻の基礎年金:月額約12万円
月額:約19万円
※約6万円UP!!
「5歳以上年上の夫がいる専業主婦の場合を想定して試算してみましょう。ただでさえ女性のほうが6年以上長生きというデータがあるので、妻が75歳を過ぎると夫が先立つ可能性が高い。妻の基礎年金だけを75歳から受給するようにして、それまでは夫分の年金でやりくりすることが理想といえます」
遺族厚生年金は夫が生きていた場合の受給額の約半分。また企業年金は夫死亡と同時になくなってしまう。夫の死後の妻の年金は月額約13万円。それがこの方法で約19万円になるという。
「もし妻が75歳になる前に夫が亡くなったら、そのときから自分の基礎年金を受け取る手続きも可能なのでご安心を」