奈良県に続いて2位となったのは京都府。この上位2府県には携帯料金を含む「通信費が安い」という特徴がある。
「奈良と京都は、ともに通信費が全国平均よりも低い。携帯料金の見直しは、支出削減に効果大です。貯蓄が多い県では、格安スマホの利用率が高い傾向も見られます」
さらに京都には、貯蓄だけでなくそれを“運用する”能力が高いという一面も。
「京都府は、貯蓄に占める有価証券(株式、投資信託など)の割合が高いのが特徴です。資産を増やすには、貯蓄と投資を組み合わせることが重要。銀行に預けておくだけでは、資産はほとんど増えないからです。一方、投資はリスクを伴いますが、資産を増やすことが期待できます」
〈京の着倒れ〉と外見にお金をかけて貯金には無関心というイメージがあるが、積極的に貯蓄を運用する面があるようだ。
ちなみに、京都府の年収(589万円)とほぼ同じ宮崎県(582万円)の貯蓄率はワースト3の45位。’21年の家計調査によると有価証券の保有割合は京都が20%に対し、宮崎県は6%だ。
「その分、宮崎県は生命保険の保有割合が全国平均と比較してもかなり高いです。生命保険には貯蓄型のものがありますが、途中で解約すれば元本割れすることも。増やすなら投資で、貯めるなら貯金で、保険は掛け捨てで十分です」
3位につけた千葉県も投資に積極的な人が多い。有価証券の貯蓄に占める保有割合は22%と京都府をしのいでいる。
「大規模に開発されたベッドタウンには、都心の企業に勤務するファミリー層が多く住んでいます。年間収入も全国平均を上回っていることから、都会でよく稼ぎ、よく貯める傾向があるのでしょう。さらに、地価は東京に比べて8分の1と首都圏では比較的低水準。抑えた分の住居費を貯蓄に回すことができるんです」
このように日々倹約に努める3府県だが、実はある共通点が。余裕がある一方で「夫の小遣い」は全国平均並みかそれ以下なのだ。妻だけが無理をするのではなく、夫と家計の状態を共有し、夫婦で無駄な支出を削減していくことが貯蓄には不可欠なのかもしれない。
■外食代と高い携帯代で貯まらない高知県
一方、もっともやりくりが苦手な県は高知県という結果に。貯蓄は年収の約1.7倍。純粋な金額でも、沖縄に次ぐワースト2位だ。
「家計調査(’19~’21年の平均)を調べてみると、高知県は外食にかけるお金が大都市圏に次ぐ第10位。なかでも、飲酒代は全国平均(1万1千358円)よりも1万円近く多く、ダントツの1位。また、焼き肉とすしをよく食べており、年間の焼き肉への支出は、47都道府県で最も多く、全国平均(6千184円)の倍近くを支払っています。すしへの出費も全国で3番目に多いんです。外食代や飲酒代が多い人は倹約には不向き。交友関係が広いとお金は貯まりにくいのです」
高知県は携帯電話の通信料が高いことも気がかりだという。
「格安スマホの普及率が低いところを見ると、改善する余地は大きいでしょう」
あなたの家計は、どの都道府県に近いだろうか? 貯金が得意な県の「貯まるルール」をまねして、貯め体質を作ろう!