止まらない物価高騰ーー5年後には年金だけだと毎年6万4千円不足
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■15年後には赤字は9万円まで拡大する

 

社会保険労務士で『結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか』(青春出版社)などの著書がある増田豊さんはこう語る。

 

「本来、物価や給与の上昇とともに、年金受給額も増えていく仕組みでした。しかし、高齢化による財政悪化もあり、『マクロ経済スライド』という年金の給付抑制策がとられています。物価が上がっても、受給額は増えないのです」

 

現在の物価高騰は、アベノミクスによる大規模な金融緩和に端を発する円安に加え、世界的な原油高や穀物高、さらには世界経済の成長に日本が取り残されていることなど、複数の要因が複雑に絡み合ったもの。一朝一夕に解消するものではなく、今後も物価は上がっていくとみたほうがいい。

 

「高齢化が今後も進むことから、年金の給付抑制策は今後も続いていくでしょう。社会保険料や税率も引き上げられることが懸念されます」(増田さん)

 

年金の受給額がそのままで、物価と税・社会保険料の上昇によって支出が毎年1%ずつ増えると仮定した場合、毎月の赤字額は5年後の2027年には約6万4000円、10年後の2032年には7万8000円、15年後の2037年には約9万4000円にまで拡大してしまう。

 

現在の物価上昇の勢いは、1%を優に超えているため、場合によっては、赤字額はもっと増えるかもしれない。

 

「こうした赤字を放置しておけば、老後のために貯めた資金があっという間に失われていってしまいます。いますぐできることから家計防衛していくことが重要です。まずは支出を見直しましょう」

 

そう語るのは、ファイナンシャルプランナーで、生活設計塾クルー取締役の深田晶恵さんだ。

 

「ムダな生命保険や医療保険、携帯電話料金などの固定費を見直せば、翌月から月1万〜2万円の支出が減らせることもあります。また物価が上がっている今は、生活費のなかでも、食品や日用品代などお財布から出ていく現金の流れを把握しておくことも大切なポイントです。レシートを見直したり、こまめにノートをつけたりして家計状況を振り返ることを心がけましょう」

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