若者の結婚離れ、草食系男子、推し活……そんな言葉で取り沙汰される子ども世代は、実際の恋愛や結婚に興味がないのだろうか。もしかしたら、知らない間に親が地雷を踏んでいるのかもしれないーー。
「学生時代から、結婚しろ、結婚しろと言われ続けてきました。家に帰るのが遅くなると、興味津々で『誰と一緒だったの?』と聞かれるんです。それで『友達』だと答えると、ガッカリされる。もう疲れて、交際相手を探す気も薄れてきました」(20代女性)
50歳時点での未婚率は’90年以降、上昇傾向にあり、’20年は男性28.3%、女性17.8%。この傾向は続き、’40年は男性が約29%、女性が約19%になると予想されている。
ますます未婚が増えるなか、適齢期を迎えた子どもから結婚の気配を感じないと、つい不安になってしまうもの。
だが、“将来、子どもには幸せになってほしい”という親心が強すぎて、子どもの婚活に悪影響を与えることがあるという。
婚活IMAの今村倫子さんはつぎのように語る。
「高学歴、高身長、高収入の“3高”男性が結婚の条件となったバブル期に青春時代を過ごし、まだ景気のいい時代に結婚した親世代は、当時の古い考えのままでいる人が少なくありません。一方で、子ども世代は生まれたときから男女平等の教育を受け、先行き不透明な社会に身を置いてきたのだから、結婚や結婚相手に対する考え方も大きく異なっています」
また、『「婚活」受難時代』(角川新書)など、多くの書籍やメディアに取材協力をしてきた結婚相談室婚活すみれ会の伊集院淑子さんに話を聞くとーー。
「私の相談所では8割くらいが親子そろって面談しますが、必ず事前に親だけ先に来てもらって、いまどきの子どもの結婚観や価値観をレクチャーするようにしています。そうでもしなければ、険悪なまま、親子の面談時間を過ごすことになるためです」
そこで、子どもの結婚を邪魔しないために、改めるべき親の古い価値観を、6項目に大別し、それぞれ解説してもらった。
「やってはいけないのは、子どもの交際相手に否定的な言葉を投げかけること。つい“収入は大丈夫なの”などとこぼしてしまいますが、子どもだって、しっかりと自分の結婚相手のことを見ています。それを否定されると、子どもは親に相談したり、交際相手を連れてくることをためらいます。まずは応援することが大事。結婚するのは親ではなく、子どもなのですから」(伊集院さん)
【1】マッチングアプリに猛反対する
交際相手との出会いが信頼できる知人の紹介でならば、ある程度の身元が把握できているため安心だが、マッチングアプリの場合は“どこの馬の骨かわからない”と不安に思ってしまうもの。
「若い世代は大学生くらいから利用していますし、反対するよりも『信じているからね』と応援しましょう」(今村さん)
【2】オタク趣味をやめさせようとする
アイドルやアニメに夢中になり“こんなオタクじゃ結婚できない”と嘆く親も。
「今の若者は、結婚しても自分の時間を大事に過ごす人が多い。没頭できる趣味に理解が求められます。ここ数年でオタク同士の結婚がとても増えました。オタク専門の結婚相談所もあるので、ご相談されてもよいでしょう」(今村さん)
【3】相手の資格や年収は重要だと説く
「以前より少なくなったとはいえ、いまだに結婚相手に『一流大学卒』『ステータスのある職業』を条件に出す親御さんもいます。それを『親の見栄』と子どもは見ています。今は共働きが当たり前の時代。夫婦2人で稼いで生活できれば特に問題がないのでは。高収入より、家事や育児もしてくれる夫を求める人が多いですよ」(伊集院さん)
【4】婚活のスケジュールや進捗をきちんと共有する
「結婚しろと、親からあまり言われすぎると、帰宅してもすぐに自室にこもってしまうお子さんがいます。そんな場合、母親には『3カ月、黙っていてください』とアドバイスします。すると子どものほうから寂しくなり、結婚観や自分の思いなどを語ってくれるようになるケースが多いんです」(伊集院さん)
【5】親子で近くに住もうと提案する
子ども1人の家庭の場合、寂しさから「結婚しても、近くに住んでほしい」とこぼしてしまうもの。
「新婚生活の場合、通勤のしやすい所を選ぶ人が多いですが、孫ができれば、子どもから“実家の近くのほうが便利”と引っ越してくれたりするので、新生活に関しては、子どもの意見を尊重しましょう」(今村さん)
【6】行事はきっちりと行ってきた
「子どもの節句、七五三を大事にし、成人式は家族で記念写真。気づけば私の進路まで母がきちんと決めていったので、母依存型人間に育ってしまいました」(20代・女性)というように、世話焼きがすぎると独立心が阻害される。
「お見合い相手を選ぶときも、いちいち『母に聞いてみます』と自分ごとと受け止められない人は、結婚が遠いです」(伊集院さん)
よかれと思ってしていることが、逆効果かもしれない。自分が6つの行動をとっていないか、今一度考えてみよう。