“オネエキャラ”で、一世を風靡した双子タレントの「おすぎとピーコ」。4月中旬、兄にあたるピーコ(78)が「行方不明になった」と報じられ、騒然となったことは記憶に新しい。エアコンやテレビもつけっぱなしで姿を消してしまったため、近所の人は不安をあらわにしていた。
その後、ピーコは昨年から認知症を発症し、スーパーで万引を繰り返した結果、今年3月25日に逮捕・書類送検されていたことが明らかになった。現在は、高齢者施設に入所しているという。状況を知らない近所の人から見れば“行方不明”状態だったわけだが、認知症の人の徘徊・失踪は珍しいことではない。
「ピーコさんの症状はわかりませんが、一般的に認知症患者の場合、家にいながら〈家に帰りたい〉などと思って外に出て徘徊し、迷子になってしまうケースがよくあります」
そう話すのは、認知症に詳しいメモリークリニックお茶の水理事長の朝田隆さん。
「徘徊に出た先で、事故に巻き込まれたり、夏は熱中症に、冬は低体温症などになったりして亡くなるケースもあるので注意が必要です」
朝田さんは、約40年間、認知症患者の診察をしてきたが、これまで4人の患者が徘徊先で亡くなっているという。
警視庁が’22年に発表した統計によると、’21年の1年間で認知症やその疑いで行方不明になった人の数は過去最多の1万7千636人に。統計を開始した’12年以降9年連続で増加しているのだ。
認知症患者が年々増える昨今、人ごとではない行方不明や失踪。今回は、徘徊から親の命を守る方法を専門家に教えてもらった。