【中編】片づけのエキスパートに学ぶ「捨てられない自分」の克服法 より続く
これまで7000人の片づけの悩み相談を解決してきた、整理収納アドバイザーでフリーアナウンサーの阿部静子さん。先日出版した『自分を好きになる片づけの法則』(ぱる出版)などの著書や講演活動を通じて、「片づけは、自分を肯定して好きになる手段」であることを伝えたいという。
その思いは、阿部さん自身もかつては苦手だった片づけに関して、その基本を学び、実践した経験が元になっているそうだ。
片づけは「いきなり部屋全体を一度に片づけようとする」「モノは大量に捨てなくちゃと考える」といったように、無理をしてしまうことが長続きしない原因になりがち。最近では、インスタグラムやYouTubeで、整然とした収納の“映える”写真や動画を目にする機会も多い。阿部さんの元には、「SNSで見た収納をマネしてもうまくいかないのですが……」といった悩みや質問も少なくないという。
阿部さんは、「『あこがれの片づけ』と『実践できる片づけ』は少し異なる」と話す。
「みなさん、“映える”収納、を目標にしていませんか? 片づけが苦手だったころの私も、インテリアの本で見た、白いケースに整然と収まった美しい収納にあこがれていました。そして同じようなケースを買って収納してみたものの、なんだか違うのです。しっくりこず、どうしてだろう? と考えました」
突き詰めていくと、「あこがれ」を実現できないことが挫折につながり、自信を無くすことにつながっていた。まずは“ラクにできる片づけ”を実践することを繰り返し、成功体験を積み重ねることが、大切だということに気づいたそう。
以下の項目のうち、自分に当てはまるものがないかチェックしてみよう。
□ 片づけが苦手
□ 面倒くさがり
□ どうやって片付けていいかわからない
□ ものが多い
□ 床にものが置いてある
□ インスタグラムやYouTubeを見てもうまくいかない
「もしひとつでも当てはまったら『あこがれの収納』をゴールに設定するのはおすすめできません。片づけが苦手で、面倒くさがりだからこそ、“ラクにできる片づけ”でOK。まずは『自分でも片づけができた!』と、変化を実感することが重要です。そして、部屋が片づくと、気持ちが前向きになります。部屋の見た目だけでなく、自分の内面が変化していくことを実感してほしいのです」
阿部さんが挙げる「ラクにできる片づけ」の基本原則は次の2つだ。
【ラクにできる片付け1】フタ付きボックスに頼らない
「きっちりピッタリの“映え収納”には、中身が見えないフタ付きボックスが欠かせませんが、ラクに片づけるには、よく使っているものはフタのないケースに収納すべきです。出し入れもしやすく、中に何が入っているかもわかり、使いやすいです。見栄えは少し劣るかもしれませんが、片づけやすく、散らかりにくくなります」
【ラクにできる片付け2】すき間なく収めることにこだわらない
「棚や引き出しにピッタリ合うケースにモノを入れ、すき間なく美しく整えることを、シンデレラフィットなどと呼ばれています。このような“映え収納”を目指して力んでしまうと、うまくいかないストレスがたまったり、自信をなくすことにつながってしまいます。ラクにできる片づけは、収納スペースには多少のすき間があってもOK。そう考えれば、気持ちに余裕が生まれて、『私にもできる』と片づけに前向きになれるはず」
そして、行動に移すことが自分を変える第一歩。「今年も大掃除しなかった……」で終わらせるのではなく、新しい年を迎える前に、片づけマインドを育て始めよう。