総務省は3月7日、郵便料金の引き上げを承認しました。これを受け、日本郵便は10月から、封書とはがきの料金を値上げします。特に封書は、消費税増税と関係のない値上げは30年ぶり。はがきは7年ぶりの値上げです。
具体的には、25g以下の定形封書は84円から110円に約31%アップ、50g以下の定形封書は94円から約17%アップで110円と、定形封書の料金を統一します。
また、はがきは63円から約35%上げて85円に。定形外の郵便物も、約3割値上げするようです。
値上げの原因は、人件費や輸送費などコストの上昇に加え、郵便物数の減少が大きいです。郵便物数のピークは2001年度の262億通でしたが、2022年度には144億通と45%もの減少。2022年度の営業損益は、民営化後初めて211億円の赤字となりました。
そもそも日本の郵便価格は、諸外国より安く設定されています。封書の料金はフランスだと184円、イギリスは140円、ドイツは135円(’23年)。110円に値上げしても、日本はまだ割安です。
一般の企業なら赤字になる前に値上げをするでしょうし、配達距離に応じた料金の導入や、利用者数の少ない支店を統合して支店数を減らすなどのコスト削減に向かうでしょう。ですが、郵便事業は全国一律の安い料金で行う「ユニバーサルサービス」。どんなに遠い離島にも封書なら84円で届けねばなりませんし、全国に約2万4千局ある郵便局を経営合理化のために閉鎖することもできません。