はがきは63円から85円へ、だが郵便料金の値上げは“焼け石に水”!
画像を見る 封書は、消費税増税と関係のない値上げは30年ぶりとなる(写真:izumousagi/PIXTA)

 

■値上げで2025年度に黒字化しても2026年度以降は赤字に

 

これは民間企業として考えると、おかしな話です。ただ郵便事業を行う日本郵便は、ゆうちょ銀行やかんぽ生命と違って株式が一般に売り出されない日本郵政の完全小会社。親会社である日本郵政の株式30%以上を財務省が保有する“半官半民”だから、日本郵便はユニバーサルサービスという縛りを受けているのです。

 

仮に日本郵便が郵政民営化前の国営企業のままなら、赤字が出ても国費で補てんして郵便事業を続ける手がありました。ですが、民営化した以上、国の助けを借りず経営努力が求められます。

 

そこで、値上げに踏み切ろうとしているのですが、総務省によると、郵便物数は2028年度に115億通となり、2022年度よりさらに約20%減ると予測。今秋の値上げで2025年度に黒字化しても、2026年度以降はまた赤字に転落する見込みで、“焼け石に水”ともいえるひどい状況なのです。

 

最近は物価高が続き、実質賃金が22カ月連続でマイナスと厳しい状況です(2024年1月分、厚生労働省)。手書きの郵便物は風情があっていいものですが、家計が苦しい方は、メールやLINEなど無料で使えるSNSを活用するといいでしょう。

 

となると、郵便物数はさらに減り、日本郵便は苦難の道が続くでしょう。今後どう転換を図るのか、行く末を見守りたいと思います。

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