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スーパーに張られたパート募集広告を見て驚いた。“22時~時給1千515円”とあるではないか。

 

「時給はぐんぐん上がっています。働くなら今です」

 

そう話すのは、キャリアコンサルタントでハナマルキャリア総合研究所代表の上田晶美さんだ。

 

なぜ時給が上がっているのか。

 

「要因の1つは最低賃金の引き上げです。昨年、最低賃金の全国平均が初めて1千円を超えました。前年より43円増は過去最高です。 もう1つは春闘です。UAゼンセンによると、パートの賃上げ率は5.75%と前年より大幅にアップ。またイオングループの7%など、時給を大きく上げる企業も増えています」(上田さん、以下同)

 

根底には人手不足があるという。人手がないと存続すら難しい企業が多い。事業主は時給を上げてでも人材を確保しようと必死なのだ。

 

「ロボットが料理を運ぶレストランが増えましたが、ロボットはお皿を片付けられません。食洗機を使うにも人の力が必要です」

 

事務職でもAIが代替する業務が増えたが、今はまだ人によるダブルチェックが欠かせないという。

 

若い人はともかく、50代女性にも高時給の仕事はあるだろうか。 「たくさんありますよ。ミドルエイジの女性はPTAやご近所などの付き合いで、コミュニケーション力(以下、コミュ力)を鍛えています。これを生かした電話応対の仕事がおすすめです」

 

■家事力を生かして家事代行や清掃スタッフに

 

包容力のある聞き方、真摯な謝罪対応などで中高年女性が重宝されるという。働く立場としては、電話なら顔や服装などにそれほど気を使わなくていいのが助かる。

 

「ただし、電話で話しながら聞いた情報をパソコン(以下、PC)で入力する仕事が多いです。コミュ力とPCスキルがあれば◎。高級マンションのコンシェルジュもコミュ力が生かせる仕事です」

 

岩手県は最低賃金が893円と全国でもっとも安いが、カスタマーサポートは時給1千500円で募集されていた。電話応対の仕事は全国的に時給が高い傾向にある。

 

「次に生かしたいのは家事力です。『家事なんてお金にならない』という人が多いのですが、今は共働き家庭も多く、料理などを中心に家事代行の需要が増えています」

 

料理など仕事の評判がよく指名が増えれば、その分時給が上がっていくという。

 

「クライアントは子育て中の方が多いので、栄養面が気になるでしょう。だから、栄養士の資格があれば大きな武器になります。

 

とはいえ、栄養士の資格を今から取得するのは難しいので、野菜ソムリエや食生活アドバイザーなどの民間資格を勉強する手も」

 

よく似たキッチン仕事でも、飲食店のスタッフより家事代行のほうが体力的にやさしいだろう。

 

「また、以前は清掃作業の人気がなかったのですが、いまはきれいな制服を着られて高時給。特にインバウンドの影響で、ホテルの客室清掃の募集が増えています。マニュアルがあるので、自宅の掃除よりかなり楽だと聞きますよ」

 

ジョブズリサーチセンターによると、2021年4月関西エリアの清掃スタッフは時給1千5円だった。それがいまや1千500円。わずか3年間でほぼ1.5倍という時給の急上昇が起こっているのだ。

 

以前は低賃金の代表だった介護や保育などのケア職や、人気が高いことで時給が低く抑えられていた事務職も、軒並み上昇傾向だ。

 

「若いころに取得した資格を最大限活用しましょう。女性は簿記の資格を持つ人が多いです。ブランクがあっても、比較的簡単なチェック業務などの募集もあります」

 

もうすでに働いている人は、転職したほうがいい?

 

「まずは今の職場で時給アップを交渉してみては。多くの事業主は、慣れた人に長く勤めてもらうほうが安心と考えます。今の職場で必要とされる人材なら、交渉に応じてくれると思います。

 

そしてパートから正社員への登用も広がっています。正社員になれば、退職金が支給されますよ。ぜひ正社員を目指してください」

 

高時給パートで効率よく稼いで、老後資金をガッポリためよう。

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