■飼い主が高血圧に気づくのはかなり難しい
恐ろしいペットの高血圧だが、元の基礎疾患はどうなる?
「たとえば慢性腎臓病の場合、ほとんどのケースで高血圧を併発しています。血圧を薬でコントロールすることで腎臓を保護し、寿命を延ばすことも可能です」
元の病気は完治が望めないが、延命のためには飼い主がペットの高血圧にいち早く気づくことが大切だ。
「確かに早期発見・早期治療は、ペットの命に大きくかかわります。ですが、高血圧の症状はわかりづらく、飼い主が高血圧に気づくのはかなり難しいのです」
たとえばペットは失明してもいつもと変わらずに生活するコが多いそう。ペットは視覚以外の感覚やこれまでの記憶をもとに動くため、目が見えなくても、食事や排せつに困るコは少ない。ペットの失明に気づかない飼い主も意外と多いのだ。
「最近、物によくぶつかる」と受診させたときには高血圧が相当進み、すでに失明していたケースもあったそう。飼い主はまさか高血圧が原因とは思わなかったのではないだろうか。
「高血圧そのものに気づくことが難しくても、『いつもと違う』『最近、なんか変』と思ったら、すぐに受診してください。一緒に暮らす飼い主にしか気づけない小さな変化を見逃さないでほしいのです」
高血圧などの病気が潜んでいるかもしれない高齢ペットが気をつけたい健康チェックリストは下のとおり。「ふだんより○○」「いつもと違って○○」がポイントだ。チェックリストで1つでも気にかかることがあれば、すぐに動物病院を受診しよう。高血圧以外の病気が見つかる可能性もある。
とはいえ、飼い主が気づいたときには進行していたということも多い。また、ペットの病気は持って生まれた体質から避けがたいものもある。
「特にシニア期のペットは病気になりやすいので、定期的な健康診断をお勧めします」
シニア期とは、犬は犬種によるがおもに7~10歳以降、猫は7歳以降を指す。
「健康診断で早く病気が見つかれば、治療しながらペットと長く一緒に暮らすこともできるでしょう。もし病気がなかったら、ひと安心。健康なペットライフを楽しめます」
些細な異変に気づく飼い主の観察力と定期健診で、愛する家族を高血圧などの病気から守ろう。