■クレカ乗っ取りを防ぐには
“クレカ乗っ取り”を防ぐにはどうしたらいいのか。
「まず、カード情報を漏えいさせないことが重要です。カード情報の流出はほとんどがフィッシングメールからだと考えられます。カード会社を名乗り、番号を入力させるフィッシングメールは開かないことです。
最近は誰でも引っかかってしまうほど巧みな誘導がなされています。『利用明細の確認』を促し、ログイン情報を入力させるようとするものもありますが、利用状況を確認する際は、『カード会社専用アプリ』の利用を徹底しましょう」
不正利用に気づくためには、利用履歴のこまめなチェックも大切だ。
「オフライン決済の場合、不正利用の額が少額なので、気づきにくい点がやっかいです。カード会社によっては返金の期限が設けられているところもあります。2カ月を過ぎるなど、時間が経過したあとでは返金されない場合もあるため、注意しましょう」
ほかにも、スマホ自体を失くしてしまったときには、こんな落とし穴もあるという。
「落としたり、盗難などでスマホが第三者の手に渡ってしまった場合、画面ロックをかけていれば、IDやPayPayなどの決済サービスを利用されてしまうことは防げますよね。
しかし、Apple Payには“エクスプレスカード”と言う仕組みがありますので注意してください。モバイルSuica、モバイルPasmoなどの交通系ICでは自動的に設定され、iD、QUICPayでも自分で設定することができます」
この”エクスプレスカード”が設定されると、画面ロックを解除しなくても、端末をかざすだけで使えるようになるという。いちいちロック解除をする必要がなく、自分で使う分には便利なのだがーー。
「落としたスマホから、第三者がiD、QUICPayをいくらでも使えてしまうばかりでなく、残高が0になれば使えないはずの交通系ICの場合でも、クレカからのオートチャージ設定をしていると、限度額いっぱいまで使えてしまうことになります。クレカを利用停止にするなどの対処を行うまでに数万円~数十万円など、被害が高額になってしまう可能性もあります」
実際にスマホを落としてApple Payを「40万円使用されてしまった」という被害相談を受けたこともあると山本さん。“エクスプレスカード”の設定とオートチャージ機能の有効化と上限金額の設定は、慎重に判断したいところだ。
万が一スマホを失くした場合、交通系ICをすぐに止められるようカード番号を控えておくことも徹底したい。
■不正利用に気づいたら、まず何をすればよいのか
「まずは、カード会社へ問い合わせをしましょう。前述のとおり、『不正利用』であることを申し伝えると、問題の請求を取り消してくれる場合が多いです。利用された日時、お店、家族の利用有無など確認して判断しましょう。カード利用停止の手続きはもちろん、必要に応じて再発行の手続きも行ってください」
カード会社も本人の利用なのか、不正利用なのかを、利用者の申し立てだけから判別するのが難しいというケースもあるという。
「日頃から家計簿を付けて管理していますが、この決済は明らかに私ではありません」とか、「コンビニの利用は月3,000円以下が多いので、この頻度で利用されるのはおかしいです」など、ふだんからきちんと管理していることのアピールというのはすごく大事だ、と山本さん。
便利な決済システムが増えているが、不正利用のリスクもどんどん増している。
電子決済の仕組みを知り、日頃から明細などをチェックしておくことで被害を防ごう。