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収入が上がらないのに、続々と食品メーカーから値上げが発表され、ついに昨年のエンゲル係数は28%を上回るという異常事態に。食い止めるための家計防衛策とは!?

 

「2月7日に総務省が発表した家計調査で、2024年のエンゲル係数は28.3%と、43年ぶりの高水準でした。エンゲル係数は、消費支出に対する食費の割合で、所得が低く、食費の割合が増すほど高くなるため、生活の困窮度合いを示す指標ともなります。

 

理想は20~22%とされているので、生活の苦しさが数字になって表れています」

 

こう警鐘を鳴らすのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。たしかにアメリカのエンゲル係数は約16%、ドイツは約19%、韓国は約13%と、諸外国に比べ日本の高さは突出している。

 

では、いったい日本はどれほど貧しい国になったのか。統計が始まった1963年以降、エンゲル係数がもっとも低かった2005年と、最新の2024年の家計調査、国税庁の資料などをもとに比較してみた。

 

まず平均年収は、国税庁「民間給与実態統計調査」によると2005年は455万5千円で、2023年は460万円(2024年は未発表)。家計調査によると1カ月の消費支出も2005年は30万531円で、2024年は30万243円と、ほぼ変化はない。

 

「しかし、食費にかかる支出は2005年が月6万8千699円だったのに対し、2024年には月8万5千40円と、1万6千341円も増えています。年間に換算すると約20万円です。

 

全体の消費支出が変わっていないことから、趣味や教育などほかの支出を抑え、なんとか食費の負担増に耐えている現状が浮き彫りになっています」(柏木さん)

 

■乳製品の価格は20年前に比べ増加率が80%!

 

同家計調査から食費の品目別支出額を調べてみると、当然のことながら、多くの品目で2005年に比べ、2024年が増えている。目立って増加率が高かったのは乳製品の80%だ。つまり乳製品の支出がこの20年で1.8倍になっているということ。

 

『「食品主要195社」価格改定動向調査』を発表し、値上げ動向に詳しい帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんが解説する。

 

「酪農家を守るため、北海道では乳価の卸価格を引き上げることが決まっています。乳価が上がれば牛乳ばかりでなく、バターやチーズなど乳製品も影響を受けます。2025年も引き続き値上がりすることが予想されます」

 

■同様に増加率が高かったのは76%のコーヒー・ココア

 

「コーヒー豆は“半世紀ぶりの高値”といわれているほど。ブラジルの天候不順で、香りが高いアラビカ種が減産。そのため風味は劣るものの、収穫量が多く安価なロブスタ種に需要が集中。しかしロブスタ種の原産地も高温や干ばつの影響を受け、両品種とも高値が続いています」(飯島さん)

 

コーヒー豆と並び、チョコレートの原材料であるカカオ豆も不作であることから、菓子類への影響も大きい。2005年に比べ、2024年の菓子類の増加率は58%だ。

 

日々の食事で欠かせない食材に目を向けると、パンの増加率は32%、生鮮肉は36%、調味料は29%、生鮮野菜は19%だった。

 

「パンの値上げは小麦粉価格の高騰が主要因でしたが、現在は世界的に価格が安定しています。それでも価格維持ができないのは、円安、物流コストの増加、人件費の高騰など、複数の要因があるため。

 

肉類は牛や豚、鶏の飼料価格の高騰、輸入肉に関しては円安や、中国など周辺国の需要が高まっていることなどが要因です。

 

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